不況の時代だから売れるベストセラー

これからの不況の時代に売れる分野は、たぶん「経済」と現実逃避のための「娯楽作品」でしょう。
ということで、現在よく売れている経済関係の本ですが、それらは以下の二つの分野に分かれます。

A:現在と未来の国内外の経済状況を理解するための本
B:個人の経済状況を改善するハウツー本

まずは、

A:現在と未来の国内外の経済状況を理解するための本

1.Melt Down
 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1596985879&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1

先日ご紹介したこの本は、22日現在でアマゾン27位。この分野で最も売れている本です。読者評価も現在のところこの分野では最も良いようです。

2.When Giants Fall
 

http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=047031043X&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1

これもMelt Downと同じく2月9日に発売されたもの。米国というジャイアンツが崩壊するとどうなるか、という未来を予測する内容。
作者はイギリスHSBC、ソロスファンド、オランダABNアムロ銀行、ドイツドレスナー銀行、アメリカJPモルガン・チェースなどで25年間勤務した投資専門家のマイケル・パンズナー。現在の金融崩壊が起こる前に著書Financial Armageddon(翻訳版「金融ハルマゲドン」)でそれを予告したことで知られています。けれども、両書とも、読者は狭い情報から結論を導きだしていることや表層的な分析を批判しているようです。Melt Downほど良い反応は得ていません。

3.The Return of Depression Economics and the Crisis of 2008

http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0393071014&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1

プリンストン大学の教授でノーベル賞受賞者のPaul Krugmanの最新作。2008年12月に発売されたものですが、現在でもベストセラーを続けています。通常の不況と恐慌での対応策の差などを説明したものです。90年代に日本が体験した不況についても分析しています。現在の恐慌への対応策については、それぞれの作家が非常に異なる提言をしていますので、1冊だけで判断することはできないでしょう。

4.Lords of Finance

http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=159420182X&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1

これは現在の経済ではなく、過去の大恐慌を解説した作品です。世界銀行の元エコノミストでファンドマネジャーのLiaquat Ahamedが、ニューヨークのFederal ReserveのBenjamin Strong、 英国Bank of England のMontagu Norman、 仏国Banque de France のEmile Morceau、独国ReichsbankのHjalmer Schachtの4人の銀行家の決断がいかに大恐慌とそれに続く金融の混乱を引き起こし、それが第二次世界大戦に影響を及ぼしたかを語っています。
現在の不況が問題化する前に書かれた作品ですが、絶妙のタイミングで出版されました。タイムリーだというだけでなく、歴史ものとしてなかなか読み応えがある作品のようです。これはベストセラーのみならず、ロングセラーになる可能性があります。読者の評価も高いようです。

B:個人の経済状況を改善するハウツー本

1.Get Motivated!

http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0385524692&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1

タイトルどおり、やる気を奮起させるための本です。分かっていてもその気になれないのが人間の性。不況の時代だからこそ、こういう本が売れるのでしょう。

2.Suze Orman’s 2009 Action Plan

http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=073932859X&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1

スージー・オーマンの優れたところは、経済や金融にまったく無知な中流からワーキングクラスの人々の心理をよく理解しているところです。そして、彼らにできることを、彼らの言葉で語ることでしょう。毎年似たような本を何冊も出版していますが、それでも必ずベストセラーになるのは、どのような経済状況にあっても「ふつうの人々」が常に同じような過ちを繰り返すからです。これは現在の不況にあわせた行動プランです。

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 助産師としてキャリアをスタート。日本語学校のコーディネーター、外資系企業のプロダクトマネージャーなどを経て、 1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 500 reviewer.

不況の時代だから売れるベストセラー」への1件のフィードバック

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中