BEAにてKindleの競合電子ブックリーダーを試す

10月7日追記ニュース:世界のどこでも電子書籍を購入できる国際版のKindleが発売されました

下記はオリジナル記事:

Kindleが独走しているような電子ブックリーダーの世界ですが、ネットで情報を集めているだけでなくちゃんと試してみるべきだと思って競合2種をチェックしてみました。

Bea09_012 まずはSonyの電子ブックリーダーです。
Kindle2より優れている!と感じたのは残念ながら暗い場所でも読めるように点灯できるという1点だけでした。ふれた感じも扱い方もKindle2のほうが1ランク上ではないかと思いました。
Kindleユーザーにとって,Sonyの最大の問題は電子ブックリーダーに直接e-bookをダウンロードできないということ。しかも、これを持っているユーザーの話では、Sony ebook Storeからマックに直接ダウンロードできないのだそうです。PCにダウンロードしてからUSBでMacに移すのは面倒でしょうがない、と彼は文句を言っていました。Sonyの営業によるとこれは改良されるそうですが、「遅れてるなぁ」というのが正直な感想です。(追記:その後Sonyは改良した製品を発表しています)

そのSony電子ブックユーザーが私に「注目している」と言ったのが英国、欧州、アメリカで発表されたばかりの英国生まれのCOOL-ER電子ブックリーダーです。

Coolerimage
以前「ギミックっぽい.売れるとは思えない」という否定的な評価を読んでいたので、まったく期待していなかったのですが、やっぱり自分で体験してみるものですね。私は異なる印象を受けました。
たしかにKindleよりは安っぽくて、単純なつくりです。キーボードもありません。もちろん、Sony電子ブックリーダーのようにe-book storeから直接ダウンロードもできません。けれども、Kindle購入をためらっている人を説得できるとしたら、SonyではなくCOOL-ERだと私は感じました。(追記:その後Kindleが値下げし、COOL-ERで購入できる電子書籍の価格がAmazon.comのKindle版価格より遥かに高いことからCOOL-ERを購入する理由がまったくなくなりました)

まず目に付くのは、iPodのようにピンクやブルーといった楽しい8つのカラー。Kindle2発売のときにStephen Kingが書いたURに登場するピンクのKindleを連想します。そして、決定的に魅力なのは、Kindle2より100ドル以上安いことです。キーボードがなく、 text-to-speech機能もなく、 WiFiまたは Whispernet などで直接e-bookをダウンロードできない(USBまたはSDカードを使ってコンピュータからダウンロードする)、という難点が、Sonyであれば問題に感じても、Kindleの約半分の軽さ100ドル以上安い、ということで「許してやろう」という気になるのがユーザー心理のようです。
Sonyの電子ブックリーダーのブースで製品をチェックしていたのが年輩の数人でしかなかったのに比べ、ここには若者を含めてすべての年齢層が揃っていました。Sonyではちょっと質問する程度ですが、COOL-ERのブースではみんな真剣に使い心地をチェックしています。Sonyのブースで出会ったSony Readerユーザーが「電子ブックリーダーが200ドルの壁をやぶったらiPodのように爆発的に売れる可能性がある」と言っていましたが、それを実感する光景でした。
COOL-ERを開発したのはIntereadという無名の会社。写真は、創始者でCEOのNeil Jonesさんです。ディスプレー(と若い女性をバニーとして雇うところ)がかえってイギリス的だと思いました。

Bea09_016

短い時間に私の得た印象は、「いったんKindleを使い始めたものはiPodユーザーのように別の機種には手を出さないが、体験したことのないものは安くて導入しやすいCOOL-ERから電子ブックリーダーに入り込む可能性がある」ということでした。特にKindleが入手できないヨーロッパでは受け入れられやすいと思います。

6/2日追記:Neil Jonesさんから「a Japanese menu system for COOL-ER is a high priority for us 」というEメールをいただきました。

これからが楽しみです。以下はCOOL-ERのスペックです。

サイズ:183 X  117.74 X 10.89 mm
重量: 178.00 g
スクリーンサイズ:6インチ
グレースケール:8
OS: Linux
容量: 1GB
メモリ:128 MB
メモリ増設:SD (4GBまで)
ワイヤレスなし。PC,マックOK
フォーマット: PDF, EPUB, FB2, RTF, TXT, HTML, PRC, JPG AND MP3
価格:249ドル
言語:英語、スペイン語、ドイツ語、フランス語、ポルトガル語、ロシア語、中国語(2種)

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 多くの職を体験し、東京で外資系医療用装具会社勤務後、香港を経て1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 100 reviewer.

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