映画公開迫るーThe Lovely Bones

Alice Sebold
352 ページ
Back Bay Books
2002年6月 初版発売
文芸小説

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1973年12月、14歳のSusieは近道をしようとしてトウモロコシ畑を歩いているときに隣人のHarveyからレイプされて殺害される。死んだSusieは、自分の死を完全に受け入れることができず、これまで住んでいた世界の楽しいものだけをそのまま天国に持ち込んで自分の世界をつくりあげる。Susieは、そんな天国から悲しみにくれる家族や友人たち、事件の解決にとりくむ警官、そして自分を殺害したHarveyを観察し続ける。
Susieの父母は悲嘆を異なる行動で対処しようとする。 父は犯人が残した証拠探しにやっきになり、母は逃避行動に出る。子供たちは両親から十分な注意を払ってもらえず、家族は崩壊してゆく。肉体の成長を止めたSusieだが、魂は成長(昇華)し、天と地の中間の世界から次の場所に移るときがやってくる。

The Lord of the RingsのPeter Jacksonが監督した映画が公開される(米国:2009年12月11日。日本:2010年1月29日)。映画のプレビューは公式サイトをどうぞ。

6

映画も良さそうだが、観る前にぜひ原作を読んでいただきたい。

●ここが魅力!
数年前話題になったときに本屋で手に取り、買うかどうか相当迷った本です。娘を持つ母親として、悪夢を観そうな気がしたからです。
でも、読んでみると内容は予想と大きく異なりました。残酷な犯罪と悲劇を扱っているのですが、Susieの語りは美しく、ユーモアも感じさせます。ミステリーでもなく、商業的な小説でも文芸的な小説でもありません。ときおりメロドラマチックで、まとまりのない展開や「思春期にやりのがしたこと」をトライする部分はかえって邪魔ですし、終盤ですべてをおさめすぎた感もあります。けれども、癒しと希望に満ちており、これまでにないオリジナルな小説のスタイルを見事に実現した特別な小説といえます。

●読みやすさ ★★★☆☆
Susieの一人称の語りですから大人向けの小説としては読みやすいほうです。
けれども、まあまあ長いのと後半にちょっとダレるのが難点です。

●アダルト度 ★★★★☆
レイプ殺人と後半の「思春期にやりのがしたこと」の部分以外はさほど問題ではありません。けれどもテーマがテーマですので対象は高校生以上で★4つです。知人の娘は中学生のときに読んでいましたが、私はまだ早すぎると思い、娘が高校1年生のときに「みんなが読んでいるから読みたい」と言ったときに許可しました。でも好みの本じゃなかったようで、「面白くない」とすぐに投げ出しましたが。

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 助産師としてキャリアをスタート。日本語学校のコーディネーター、外資系企業のプロダクトマネージャーなどを経て、 1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 500 reviewer.

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