最終ページの衝撃が忘れられないラブストーリィーThe Last Time They Met

Anita Shreve
352ページ
Back Bay Books
2001年4月初版発売
文芸小説/現代小説/恋愛小説(ロマンスブックではない)

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詩人のThomas JanesとLinda Fallonはカナダでの文学カンファレンスで偶然に再会する。52歳になった現在、Lindaは愛する夫と死別し、Thomasは幼い娘を亡くす悲劇と2度の離婚を体験して孤独な生活を送っていた。
これまで別々の道を歩んできたThomasとLindaは、たった2度だけの出会いを思い返す。

最初はふたりが17歳で高校生のときだった。恵まれない家庭で育った問題児のThomasに心のよりどころを与えた最初の人物がLindaだった。
そして、2度目はふたりが26歳でケニヤでのことだった。
Lindaは Peace Corpsに加わり、Thomasの妻Reginaはユニセフに勤めていた。
お互いにすでに愛する伴侶がいたにも関わらず、ケニアでのふたりは罪悪感に責められつつも情熱的な情事を展開する。

利己的な主人公たちの情事は通常であれば安物のメロドラマになりかねないテーマである。だが、Shreveは、理性が抵抗できない情熱と執着心、罪悪感、 愛する者がいても満たされることのない内面の孤独、それらに操られる人間の哀しさを見事に表現して、作品を芸術の粋に高めている。
longingとregretがこの作品のテーマである。

この作品の独自のスタイルは、52歳の現在から17歳の過去へ物語が逆行することである。
眉唾で読んだ私だが、最後の1ページを読み終えた後、しばし呆然とその場に座り込んでしまった。

●ここが魅力!

このあたりで、廉価に入手できるペーパーバックのご紹介です。
Anita Shreveは長い間読まず嫌いで避けていたのですが、数年前にバーゲンコーナーでめちゃ安になっていたこの本を見かけて「この価格を無視すると申し訳ないな」と購入したのです。

「昔の恋人に今再会したとしたら…」、「あの人と結婚していたら、どんな人生だっただろう…」そんなことをときおり想像する人は多いでしょう。特にこの作品の主人公Thomasのように悲劇的な過去を持ち、二度も離婚を繰り返している孤独な男性は、若かりしころの情熱的な恋愛を忘れられないかもしれません。
この物語は、かつて恋人だったThomasとLindaが中年になって偶然に再会するところから過去に逆行してゆく愛の歴史です。

主人公のThomasとLindaは私とは思考回路がずいぶん違うので言動に苛立つこともありましたが、叙情詩的な文章とlonging, loneliness, regretの見事な表現のおかげで、すんなりと彼らの複雑に絡んだ愛の記録に没頭することができました。特に灼熱の風を肌に感じるようなケニアのシーンが醍醐味です。そしてエンディングのが〜んと頭を殴られるような衝撃。なんと巧みな作家なのか!と舌を巻き、これをきっかけに数冊続けて読みました。
けれども未だにこれが彼女の最高作品だと思います。
ですからAnita Shreve初心者で、一冊だけ読むとしたらこれをおすすめします。

●読みやすさ ★★★☆☆

叙情詩的ですが、巧みな文章ゆえにかえって努力せずにすんなりと物語に引き込んでくれるでしょう。
そういう意味では読みやすい本です。
けれども1行づつ意味を考えなければならない初心者や中級レベルの人にはあまり楽しめないと思います。
これまでにYAレベル以上の本を数冊読みこなしている必要があります。

●アダルト度 ★★★★☆

情事のシーンはホットですが、ロマンスブックやTwilightの4巻のように執拗にそればっかりというのではありません。あくまで、心理的なlongingが主です。
The Time Traveler’s Wife程度で、高校生以上向けです。

● Anita Shreveの作品

1.The Weight of Water

この作品に出てくるThomasが主人公の(ショーン・ペンがThomas役で映画化されている)

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2.The Pilot’s Wife

Oprahがブッククラブに選んで大ヒットした作品

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3.The Testimony

最新作(次の最新作は今月22日発売予定)で私立名門高校を舞台にした心理サスペンス

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 助産師としてキャリアをスタート。日本語学校のコーディネーター、外資系企業のプロダクトマネージャーなどを経て、 1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 500 reviewer.

最終ページの衝撃が忘れられないラブストーリィーThe Last Time They Met」への2件のフィードバック

  1. 渡辺様はじめまして。
    半年ほど前から洋書を読む楽しみにはまり(まあ主に気楽なハッピーエンドを求めてロマンス中心なんですが)、こちらのブログにお世話になっているとら次郎といいます。
    amazonの星を参考にした本の選び方や、初心者のための完読テクニック、ロマンス以外の本でも書評だけで引き込まれそうになる本など参考になることが多く、更新を楽しみにしています。
    ブログを拝見していますとアメリカの読書シーンに詳しいように感じましたので、この場を借りて気になっていることを一つ質問させてください。
    ロマンス中心にいろいろ検索していると時々「Christian Books」というカテゴリーに遭遇します。そのまま訳すとキリスト教文学とでも言うんでしょうか?
    ロマンスでキリスト教というのも不思議なんですが、amazonなどでキリスト教関連の本が一カテゴリーとして独立しているのも「はて?」と思うんですね。
    このChristian Booksのアメリカでの位置づけが日本でいえばどんなカテゴリーに相当するものなのか、世代別・男性と女性で好みの差などがあるのか、novelであっても教訓くさいものなのか(←私にとってはここが一番重要…。ロマンス読んでて教訓垂れられても嫌かなあ)。
    個人的な疑問ですので、お時間があるときにでも教えていただけますか?

    いいね

  2. とら次郎さん、こんにちは。
    コメントありがとうございます。
    このテーマについてはいつか書きたいと思っていましたので、さっそく今日のネタにさせていただきました。
    http://watanabeyukari.weblogs.jp/yousho/2009/10/post-2175.html
    ご質問の答えになっているでしょうか?
    まだはっきりしていない部分とかあれば、ぜひご質問ください!
    ありがとうございました。

    いいね

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