みんなが良いとほめても面白いとは限らないー Paranoia

Joseph Finder
448ページ(マスマーケット・ペーパーバック)
St. Martin’s Paperbacks
2004年2月初版発売
企業スリラー/ミステリー

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主人公のAdam Cassidyは、Wyatt Telecom社に勤めるやる気がない平社員。ただしハッキングだけは得意で、会社の資金を流用してブルーカラーの社員のために豪華な引退パーティをやってのける。それがばれたAdamはCEO のNick Wyattに呼び出され、警察に通報されたくないなら、ライバル会社のTrion Systemsにスパイとして入り込み、新プロダクトについての秘密を盗んでくるよう命じられる。

●感想

私がこの本を選んだ理由は、ニューヨークタイムズ紙のベストセラーになったことがあり、Amazon.comでは260人のレビューの平均が★4であり、Publishers Weeklyのレビューが(starred reviewではないが)「 Is it too early to declare Finder’s fifth novel (after High Crimes) the most entertaining thriller of 2004? Probably, but it will be a surprise if another suspense proves as much sheer fun as Finder’s robust tale of corporate espionage.」だったからです。
特に”sheer fun”の企業スパイものスリラーとなると、期待せずにはいられません。

ですから最初の数ページで私が感じたのは失望というよりも「これがあの良いレビューを得た作品なの?」という混乱と、「面白くないと感じる私のほうが間違っているのかも」という自分への疑いでした。
良い文章というのは、完璧に鋪装された道のように、道のことはすっかり忘れて美しい景色(ストーリー)を楽しませてくれてくれるものです。でもひどい文章は、穴だらけの道のように表現にいちいちひかかって景色を楽しむことができません。Paranoiaはcliche(使い古された陳腐な表現)が多い悪文の典型で、1行ごとに苛立つために先に進めないのです。例えば次のような表現です。

“What’s the difference between God and Nicholas Wyatt? God doesn’t think he’s Nicholas Wyatt.(面白くないおじさんのジョークは読むのも辛い)”
“Wyatt’s office was vast. An entire Bosnian village could live there. Two of the wall were glass, floor to ceiling, and the views of the city were unbelievable(小学生の作文でもこれでは良い点がもらえない).”
“ I was silent as a mannequin(マネキンのように無言って…..どんな感じの無言なわけ?)”
“a nasty, sadistic little smile on his knife-blade face.(あまりにも使い古された表現には怖くなるより笑ってしまうのですが…。Stephen KingのOn Writingの悪文の例に加えるべき表現!)”
“A regular marlon fucking Brando(この時代の会話にマーロン・ブランドなんてclicheの中でも時代遅れ)”

「これだけほめている人もいるのだ。読んでいるうちに、きっと”the most entertaining”とか感じる筈だ」と何度か再挑戦したのですが、ついに「ゴミ箱行き」カテゴリーに入れることにしました。
決断の理由は、文章力に加えて主人公の性格がチープで、薄っぺらだからです。深い考察力がない主人公の語りにつき合うのははっきり言って疲れます。

ただし、日本のアマゾンに評価を載せている方々は気に入っているようですので、私の悪評を頭から信じないでくださいね。あくまでこれは私の個人的な感想です。

●読みやすさ ★★★★☆

基本的にはすごく簡単な英語です。fucking といった形容詞(?)が続出しますし、陳腐なお決まり文句のスラングもありますが、わからなければ無視していただいてけっこう。いずれも特に重要ではないので。
文章力を気にしない方にとっては読みやすいスリラー/ミステリーではないかと思います。

●アダルト度 

途中で読むのをやめましたから不明です。

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