ホッキョクグマに恋してしまいそうな北欧の民話の現代版—Ice

Sarah Beth Durst
320ページ
Margaret K. McElderry
2009/10/6
ヤングアダルト(12歳以上)/民話の現代バージョン/ファンタジー


幼いころに祖母が語ってくれたおとぎ話では、Cassieの母は北風の娘で、Polar Bear Kingと結婚する約束だった。だが父の命に背いて人間と結婚したためにトロールたちの住処に送り込まれてしまったのだ。だが、科学者になる夢を抱いているCassieは、それが幼い自分に母親の死を間接的に伝える方法にすぎなかったと思っている。父と共に北極の生態調査所に住んでいる彼女が情熱を抱いているのはホッキョクグマの生態調査だけだ。

18歳の誕生日を前にして彼女は巨大なホッキョクグマに遭遇し、タグを着けるために催眠銃を撃つがなぜか失敗する。Cassieは父の命令を無視してクマを追うが、結局見失ってしまう。そして18歳の誕生日に彼女はそのクマに再会する。
そのシロクマは人間の言葉を話し、Cassieと結婚する約束になっていると伝える。それだけでなく、Cassieの母は死んでおらず、トロールの住処に誘致されているのだと言う。Cassieは母を取り戻してくれることを条件にPolar Bear Kingとの結婚を約束する。実は彼はホッキョクグマの王ではなく、Munaqsri(死者から魂を受け取り、それを新しい命に吹き込む役割を持つ者)なのだという。

CassieはMunaqsriのBearと暮らすうちに友情と愛を育むが、彼女のある行動がきっかけでBearはトロールのプリンセスと結婚することになってしまう。魂を司るMunaqsriがトロールの城に閉じ込められてしまったためにホッキョクグマたちは絶滅の危機に瀕する。Cassieは愛するBearを救うために苦難の旅に出る。

●ここが魅力!

Iceは北欧に伝わる民話を元にした現代版のおとぎ話です。「森は生きている」の元になった北欧の民話にもいろいろバージョンがあるように、この元になった民話にもいろいろなバージョンがありますが、ノルウェイバージョンのEast of the Sun and West of the Moonが元になっているようです。

オリジナルの民話も読んでみましたが、私にとって現代バージョンのIceの一番の魅力はMunaqsriたちの存在です。
英米ではキリスト教色の強いおとぎ話が多いのですが、このIceではひとつの神ではなく、それぞれの生物にMunaqsriたちがいて、彼らが自分の種を守るために日夜働いています。ですからCassieが夫のBearを救助するのには自己中心的な目的だけでなく、ホッキョクグマの種を守るという崇高な目的もあるわけです。「美しいが貧しい女の子が素敵な王子さまにみそめられて幸せにくらしましたとさ」となりがちなおとぎ話を、女の子が自分で幸福を勝ち取るストーリーにしたところがこの現代版の良いところです。

でもそれは大人の私の見方であり、この本がターゲットにしている少女たちは優しくて愛らしいホッキョクグマのBearの虜になり「私もこんな人と結婚したい〜!」思うだけなのだと思いますが….。
また、Cassieの考え方がいかにもティーンの女の子のもので、私はときどきムッとしました。でも、ティーンエイジャーの我が娘のことを思うと、かえって信憑性のある人物描写ともいえます。そういう女の子の成長物語でもあるわけですね。

●読みやすさ ★★★★☆

とても読みやすい本です。

●アダルト度 ★★☆☆☆

妊娠/出産のテーマが含まれていますので、中学生以下には不向きです。本の説明では「12歳以上」ということになっていますが高校生向けだと思います。

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