対象を間違ったとしか思えない夢分析の本ーThe Way of the Image

Yoram Kaufmann
96ページ(ハードカバー)
Zahav Books
2009/7/16
心理学(ユング派夢分析)

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この出版社から夢分析をテーマにしたThe Way of the Imageを読んで欲しいと依頼されたとき、快く引き受けたのはこれが私の好きな分野だからです。ことに著者はニューヨーク市のユング研究所で25年以上教鞭を取っていたベテランだというのですから期待せずにはいられません。

冒頭の紹介文は、著者のKaufmann博士がイメージが持つ原型的意味を見るこれまでにないThe Orientational Approach to the Psyche(副題)という画期的な方法をこの本で教えてくれると約束します。我々のタスクは、イメージをinterpretではなくtranslateすることなのだそうです。
日本で育った人ならここで、「interpretとtranslateのどこが違うのだ?」と首をかしげるでしょう。通常私たちがこの2つの単語を使い分けるのは「通訳」と「翻訳」くらいだからです。「解釈」と翻訳する場合にはどちらにも差がありません。前後の文脈から「解釈」すると、前者の「解釈」には解釈する者のインプットがあり、後者はインプットがない直訳に近いもののようです。

いずれにせよ、これらの疑問は本文で明らかになる筈です。
著者のYoram Kaufmannが明確にinterpretとtranslateの差を示し、その後は事例を使いながらtranslateの方法を具体的に説明し、読者が自分で夢などのイメージをtranslateできるようにするに違いありません。
ですが、そんな私の期待は見事に外れてしまいました。
本文の内容は前文に多少の肉付けをした程度のものでしかなかったのです。
事例を使って夢を解釈する方法を教えてくれるのかと身を乗り出したところで、筆者は「分析者はここでどうのこうの…」と独白を始めてしまうのです。博識な老人相手の会話のように、「ときおり面白い話題が出てくるものの、最初に尋ねた質問への答えは最後までわからずじまい」、という感じの本でした。

もうひとつ気になって仕方なかったのは、同僚の学者を対象にしているような文体です。下記のAmazonのサイトの説明文を読む限りは夢分析の素人を対象にした本ですが、この本を読んで下記を達成する人はいないのではないかと思います。

“Everyone who is interested in knowing about themselves, about their dreams, about how therapy can and should work, and about the way the world of our psyche works, will find this fascinating book to be a guide for the rest of their life”

うまく筆者を誘導すれば面白い本ができたかもしれないのに残念です。

●読みやすさ ★☆☆☆☆

簡潔な表現にすればきちんと伝わることを、わざと回りくどい表現にするのは学者さんの悪い癖です。その悪い癖が顕著に出ている文章です。

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