スティーブ・ジョブズからプレゼンの秘訣を学ぼう ーThe Presentation Secrets of Steve Jobs

Carmine Gallo
256ページ(ハードカバー)
McGraw-Hill
2009/9/11

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世界中の若い世代のビジネスマンに「プレゼンテーションが上手な人物は?」と尋ねたら、たぶんスティーブ・ジョブズがダントツ1番でしょう。多くの大企業のCEOが聴衆を居眠りさせてしまうなかで、ジョブズは「聴衆」を「観客」なみに熱狂させてしまうのですから。そして、それらの聴衆たちは雇われてもいない伝道師としてアップル製品を熱に浮かれたようにあちこちに伝えてゆきます。ジョブズはまさにアップル教の教祖です。でも、ジョブズの偉大なプレゼンテーションが生まれつきのものであると思ったら大まちがい。魔術のようなプレゼンテーションは、ジョブズの努力の結果なのです。

自らもプレゼンテーションが巧みなことで知られるコミュニケーション専門家のCarmine Galloは、本書でジョブズのプレゼンテーションの秘密を綿密に分析し、どのレベルのコミュニケーターでも活かせるようにわかりやすく解説しています。読みながらメモを取ったのですが、結局ここで使えないほど溜まってしまったくらい同感した箇所が多い本でした。

昔は私もよくプレゼンをしましたし、外資系の会社に勤務しているころは英語のプレゼンや講演の通訳もやりました。だからダメなプレゼンがどんなものかは熟知していると言っても過言ではありません。最悪なプレゼンは聴衆を無視した自己満足なものです。ジョブズは、プレゼンテーションとはロックコンサートや演劇のパフォーマンスのようなものであり、「お客様」に「素晴らしい体験」をしていただくことが大切なのだと自覚しています。「Your Audience wants to be informed, educated, and entertained」とGalloが説明するように、聴衆は、製品の情報だけでなく、なんらかの学びと楽しい体験を期待しているのです。

ジョブズはプレゼンを古典文学のように3つのAct(劇の幕)に分けています。起承転結という感じですね。そこでGalloも本書を3つのActに分けています。
1幕の「Create the Story」では、まず製品に関する、観客を虜にするようなエキサイティングなストーリーを作り上げる方法を説いています。
2幕の「Deliver the Experience」は製品の実際の内容や使い方を説明する方法ですが、ただ説明するのではなく、観客に「これが欲しい」いや「持たねばならぬ」と思いこませるような体験を与える方法です。
3幕の「Refine and Rehearse」は演出と練習です。演劇を少しでもやったことがある方ならピンとくるでしょうが、単純に見えるシーンの背後には綿密なプランと練習があります。ここでは、衣装からボディランゲージ、声の調子など細部の演出について説明しています。

Galloがジョブズのプレゼンテーションを観ながら読むことを薦めているので、ここにGalloが賞賛するMacworld 2007のジョブズのキーノート講演(12部の1部)を載せました。続きはYouTubeでご覧下さい。

●ここが魅力!

難しい言葉を使って語ろうと思えばいくらでもそうできる複雑な内容を、非常にシンプルな言葉(ジョブズもそう)でシンプルに説明しているところが最大の魅力です。私が気に入ったフレーズの一例は’ Deliver a “holy shit” moment’ 。この一言で多くのことがいっぺんに理解できてしまいますよね。それから‘Sell dreams, not products‘というフレーズなんかも。優れたコミュニケーションがどういうものであるかをGallo自身が実践しているわけですね。

もうひとつの魅力は、多くの聴衆の前でプレゼンをしない人でもビジネスで利用できる知恵が満載されていることです。相手が1人のお客様であっても上司であっても、このコミュニケーション技術は必ず役立つはずです。

こういった本に(私の夫の本についてもそうですが)「繰り返しが多い」といった的外れな批判をする方が出てきますが、それは本当に的外れです。ジョブズのプレゼンでもそうですが、繰り返しはわざとなのです。シンプルな内容もそう。それが理解できない方は、どんなに良いハウツー本を読んでも良いプレゼンテーションはできないと思います。

その逆で、これを読んで「そう、そう、その通り!」とピンとくる方には既に素晴らしいプレゼンターになれる素質ありです。

●読みやすさ ★★★☆☆

難しい言葉を使っていませんから、英語があまりできない方でも挑戦できるでしょう。ビジネスで英語を勉強したい方には、プレゼンと英語の勉強を両方一緒にするというのも良い案かもしれません。

●この本が気に入った方はこんな本も

押し売りアラート!

内助の功ということで、本書に推薦文を寄稿している私の夫の本をご紹介させていただきますね。

The New Rules of Marketing and PR

発売後2年以上経過した今もBusiness Week誌でベストセラーを続けている。多くの大学で教科書として使われるようにもなった。変化の激しい業界なので邦訳された第一版以降、英語版は何度も改訂されている。
下は、2010年に大幅に改訂された最新バージョン。

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World Wide Rave

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2件のコメント

  1. 初めまして。いつも洋書選びの参考にさせて頂いております。
    今年度下期の自己啓発として、The Presentation Secrets of Steve Jobs と The New Rules of Marketing and PR を読むことに決め、昨日、読み終わりました。
    一冊目は「予想通り」面白かったのですが、二冊目は「予想に反して」かなり面白かったです。二冊目の方は、「マーケティングの基礎知識がないので理解できるだろうか?」と少し不安だったのですが、本当に分かりやすく書いてあり、しっかり理解できたのではないかと思っています。
    予想外に面白かったので、嬉しくてコメントさせて頂きました。これからも、洋書選びの参考にさせていただきます!

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  2. Tomoyukiさま
    素敵なご感想、ありがとうございます!
    New Rulesは未だにベストセラーを続けていて、今年は3回目の改訂版が出る予定です。改訂版のたびに内容が30%以上は変わりますので、今年も新たな事例が加えられるのではないかと思っています。
    翻訳版は2007年のもので、内容が古くなっているためがあまり読者の評価が良くないようです。ですから、原書で読んでいただけて、とても嬉しいです。
    私のブログであまり宣伝すると嫌がられるのでしませんが、昨年末に出た、Real-Time Marketing and PRもどうぞよろしく(^^)v
    http://watanabeyukari.weblogs.jp/yousho/2010/11/real-time-mpr-1.html

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