humanityの敵は誰なのか?娯楽作品でありながら哲学的なテクノスリラーーFreedom

Daniel Suarez
416ページ(ハードカバー)
Dutton Adult
2010/1/7
テクノスリラー/SF(とも言えないことはない)/コンピューターゲーム

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2009年テクのスリラー最大のデビュー作Daemonの続編。

前作を読んでいない方はネタバレがあるので下記を飛ばしてください

国家の機密を隠すためにDaemonによる大量殺人の罪を着せられて処刑された刑事のSebeckは、DaemonのクリエーターSobolのプログラムにより命を救われ、あるクエストを命じられる。だがそのクエストが何であるのかは誰にも明らかにされていない。

一方、Daemonによる大量殺人の捜査で初期にSebeckを援助し、次いでFBI特別捜査官Roy MerrittとNSA( National Security Agency)の特別チームリーダーNatalie Philipsを援助したJon RossもDaemonが作り上げたD-space(ダークスペースという名のサイバースペースで繋がる社会)に移る。その理由は、民間軍事会社を通じて世界の企業と政府を牛耳るThe MajorがDaemonを乗っ取るのを阻止し、humanity(人間性)を守るためだった。Sobolは最初のうちはLokiのような反社会的な性格異常者をリクルートしていたが、D-spaceは今よりも良い社会を求める理想家たちが集まるようになっていた。通常の名前や肩書きはなく、業績や関わった人々からの評価でレベルが決まるD-spaceはSobolの専門だったオンラインゲームの世界と似ている。

現状の世界での悪を代表するThe MajorとD-spaceのLokiの戦い、愛するJon Rossの誘いを断って米国への忠誠を誓うPhilips、Humanityの行方、などまったく飽きることがない展開である。

● ここが魅力

Daemonは、発売と同時に読み、見ず知らずの新人作家Suarezに「この本は絶対に売れる!」とemailを出したほど深く衝撃を受けた作品でした。私の予言通りDaemonはニューヨークタイムズ紙のベストセラーになりましたが、実を言うと、続編でがっかりするのではないかとずっと心配していたのでした。
続編のARCを入手してすぐに読み始めなかったのは、The Girl Who…シリーズの第三部でちょっとがっかりしたこともあります。でも、読み始めてそんな心配がまったく無駄だったことを知りました。ともかく、スピーディーだし、D-spaceは、ゲームの世界を知らない私のような人でもインターネットに慣れていれば、「そういえば、こういう世界になってきてるよな」と納得できます。特に、HUD(ヘッドアップディスプレー)眼鏡を装着するとそれぞれの人物の情報がついたcall-out(付記)が現れる、という発想がおもしろいです。付記には、その人の名前(これがハンドル名というところが傑作)、職種とレベル、reputation score(何人が評価して5つ星評価のいくつかというアマゾンの読者評価のようなもの)が現れ、この世界では肩書きよりもそれで判断される、というのは現代の民主主義かもしれません。

DaemonよりもFreedomのほうが面白いと感じたのは、前回この世界の秩序を乱す存在であったDaemonに、Humanityを救うための唯一のツールというアングルが生まれたことです。「現在の社会には民主主義があると思い込んでいるが、実は政府すら操る企業に支配されているだけではないか?」という問いかけは、決して作り事の世界のものではありません。

●読みやすさ ★★★☆☆

ブンガクではありませんから、解釈の必要がない文章です。あれこれテクニカルな用語は出てきますが、IT系の方やゲームに慣れている方はこの世界を把握しやすいので、かえって読みやすく感じるかもしれません。

●アダルト度 ★★★☆☆

ロマンスに関してはほぼプラトニックですが、拷問や殺人の部分がビビッドなので、小学生には向きません。私はバイオレンス苦手なので痛い部分の詳細はけっこう飛ばしました。

●Freedomの前編

Daemon

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