あけましておめでとうございます

2008年の年末に始めた洋書に関するブログ「洋書ファンクラグ」と「洋書ニュース」は、洋書というニッチな分野ながらも、おかげさまでこの1年の間に1月のアクセス数が2万5千を超えるようになりました。出版社や著者から献本をいただきレビューや感想を求められることも増え、翻訳者や出版関係者との出会いもありました。何よりも嬉しかったのはブログ読者の皆さまとの出会いです。皆さまのおかげで、年末には洋書ファンクラブ「これを読まずに年は越せないで賞」といった読者参加型の企画も行うことができ、実り多き1年でした。

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もうひとつのブログ「ひとり井戸端会議」や「才能を殺さない教育」「子供の才能を殺さないために親が読む本」などで私は以前から教育の問題点について何度か語ってきましたが、この1年は、ソーシャルネットワークを通じて交流した方々や得た情報の刺激で「私自身ができること」について考えるようになりました。

そうしてたどり着いた2010年の新企画が「洋書ファンクラブ ジュニア」です。

ピクチャ 7
 

この企画についてご説明する前に、私に強い印象を与えた2つの視点についてお話しさせてください。

まずは、ミューズ・アソシエイツ社長 梅田望夫氏の「知の英語圏日本語圏問題」です。
 日本人の前にそびえたつ「言語の壁」で梅田氏はこう語っています。
 

「英語圏に生まれ育った若者たち」は、それが世界のどこであろうと、別の意味でリアル世界の物理的制約を軽々と超えていく。

日本語圏で生まれ育った若者たちについてはどうでしょう?

学ぶことから働くことまで、ネットがさまざまな意味で「人生のインフラ」そのものへと進化する今、「言語の壁」と言語空間特有の文化に封じ込められるゆえの「文化の壁」がそびえたってくるのを、改めて感ずるのである。

もうひとつの視点は、Googleがいかにして生まれ現在に至ったかを描いた「Googled」というノンフィクションから得たものです。

著者のKen Aulettaは、Googleの成功に不可欠なものとして情熱とビジョンを挙げ、「ビジョンなしの情熱は焦点が絞れていても電池が入っていない機械のようなものである」と説明しています。テストの点が過剰に尊重されている日本の教育では、1つの問いに対して1つの”正しい”答えを高速ではじき出すことがあたかも知性や能力と勘違いされています。「情熱とビジョン」はそういった教育からは生まれません。かえってその可能性を殺してしまうことでしょう。

私が「洋書ファンクラブ ジュニア」の企画を具体的に考え始めたのは、オンライン産経ニュースでの梅田氏の「進化を遂げる英語圏」を読んだときです。特に次の部分が印象的でした。 

インターネットは既存産業に破壊的なインパクトを及ぼすと同時に、利用者には圧倒的な利便性や生産性向上をもたらすものだ。私は勝手に「知の英語圏日本語圏問題」と呼んでいるのだが、世界語と化した英語の非対称性ゆえの構造問題と理解しつつも「これだけの知的興奮の可能性が英語の世界にしかもたらされないのか」と個人的には残念な気持ちが勝る。「日本語で学べる環境」や「日本語による知の創造の基盤」の競争力をいかに維持するのか。ウェブ進化の恩恵を受けて新しい地平が拓(ひら)かれる英語圏を見つめながら、日本人として考えるべき課題は山積だなあと悩む昨今である。

アメリカに住むアジア系移民の子供たちを見ていると、次の世代を担うのはこれらの「世界のどこであろうと、リアル世界の物理的制約を軽々と超えていく」英語圏の若者だと確信させられます。彼らには、世界語としての英語の能力だけでなく、Googleが誕生できる創造的な土壌で培われた情熱やビジョンがあります。日本語圏で育つ子供たちが彼らに対抗できるように、わずかでも貢献できないものかと考えた末に思いついたのがこの「洋書ファンクラブ ジュニア」なのです。

小学生の時点から洋書を日本語の本と同じように楽しむ癖をつければ、たとえネイティブのレベルに達することができなくても、大学生になったころから世界中の情報をリアルタイムで得ることができるようになるでしょう。また、ディスカッションやレビューを書くことを通じて自分でものを考える習慣が生まれます。点数獲得にこだわらず知識を得ることそのものを愛するようになれば、波乱が予想される将来で生き残る柔軟性も生まれるでしょう。

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英会話教師の育成学校、アメリカの小学校や中学校でのボランティアと取材、子育ての体験などから生まれた「洋書ファンクラブ ジュニア」は、日本に住む子供を対象とした洋書の読書推進プログラムです。

少数限定の有料読書プログラムの正式スタートに先立ち、必要な情報を得るための無料パイロットプログラムを行いま
ので、ご興味がある方はぜひ「洋書ファンクラブ ジュニア」をご覧ください。

6 Comments

  1. あけましておめでとうございます!
    前に一度the perks of being a wallflowerにコメントした者ですm(_ _)m
    「洋書ファンクラブ ジュニア」、すごい素敵なプログラムですね。私は残念ながらもう高校生なので…参加できませんが、中学生に戻って参加したいぐらいです(笑)その時から洋書が大好きになっていたので、ネットでこういう機会が得れたら調度良かったなぁと思います。
    確かに日本の教育は情熱とビジョンからかけ離れてますよね…。フィンランドの教育を見てると発想性があっていいな~とよく思います。
    来年から受験生ですが、今年も洋書ファンクラブを見て日々新しい本と出会っていきたいです。良い本をいつも紹介してくれてありがとうございます:)

  2. ayaさん、明けましておめでとうございます。
    来年から受験生、というと私の娘とほぼ同い年ですね。
    わが家も今年の11月からです。大学は名前じゃなくて自分のやりたいこと、楽しめそうなところ(日本で楽しむというとすぐ誤解されますが、学ぶ体験を楽しめるという意味です)を選ぶように言っています。でもなかなかそれも難しいようです。
    大学はただの通過地点でしかありませんから、気楽に構えて毎日の生活を楽しんでくださいね。ここで人生が決定することはないけれど、青春は一度だけですから。
    それではまたのご訪問を楽しみにしています。

  3. すばらしい内容のプログラムですね。
    最近はどうかわかりませんが、私が学生の頃は、読書をしても感想文程度。その後は先生から数行の感想がくるだけで、ちゃんと議論できるような環境ではありませんでした。洋書という切り口だけに終わっていなくて、普通の日本語教育にも活用できそうですね。
    先日Kindleを購入し、世界のどこにいても洋書が60秒で手元に届くという感覚にびっくりしました。同時に、日本が抱えるランゲージ・デバイドともいえるような状況に漠然とした不安を感じました。情報化社会とは言われますが、世界の情報はやはり英語に集中しているのが現実。英語教育では日本はまだまだ発展途上だと思いますので、常に後ろを走らざるおえなくなってきます。技術の格差には敏感な人は多くても、言語の差をはっきり認識している人が少ないのかもしれません。
    子供もいない自分には直接関係ないかもしれませんが、すごく重要なことをやられていると思います。影ながら応援しています。

  4. aidocさん、ご親切なコメントありがとうございます。
    実はこの発想の陰には、友人のMIT教授の「日本人留学生は中国人留学生に比べて英語力を遠慮して喋らない」といった発言なども影響しています。
    また、プログラムには娘が13歳のときに中学校の推薦でSAT(大学入学の選考に使われる標準テスト)を受け、そこの成績が良かったために、スタンフォード大学などのGifted Youthのオンラインプログラムを受講した経験も生かそうと思っています。けっこう高い授業料を払ったのに、とてもつまらない授業だったのです。このおかげで、私が小学校でreadingや数学オリンピック指導をした経験が劣ってはいないことを確信させてもらえました。
    でも、やってみないといろんなことはわかりませんから、とりあえずやってみて、失敗しながら、皆さんの意見に耳を傾けながら、学んでゆこうと思っています。
    これからも洋書ファンクラブをどうぞよろしくお願いいたします。

  5. 日本語しか理解できない…このことがどれだけのどれだけの不利益をもたらすのかは、英語を日常的に利用するようになって私自身驚嘆しました。
    ただ英語圏で生まれ育っただけで日本語圏に生まれ育った人に比べて圧倒的に優位になる。私もそう感じます。

  6. Kenyさん、励ましになるコメントをありがとうございます。
    私も英語で本を読むようになって、それをつくづくと感じました。
    それゆえの新企画です。
    私の力でどこまでのことができるかは不明ですが、始めてみないことには何も達成できないと思い、「えいやっ」と始めました。
    これからもどうぞ宜しくお願いいたします。

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