Poison Studyの輝きにはかけるが青春ものとしては佳作のファンタジー Storm Glass

Maria V. Snyder
448ページ
Mira; Original
2009/4/28
ファンタジー/魔術/冒険/ロマンス/ヤングアダルト

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ニューヨークタイムズ紙ベストセラーになったファンタジーロマンの傑作Poison Study三部作に続くSnyderの新作はGlassシリーズ。その第一部がこのStorm Glassである。

Storm Glassの主人公はFire Studyに登場した少女Opalである。Fire StudyでYelenaが邪悪な魔術師Fire Waperたちの魂をガラスの彫像に閉じ込めたときに重要な役割を果たしたOpalは、4年後の今、Sitia国の魔術学校Keepで魔術を学んでいる。だが、Opalはガラスの彫像に魔力を吹き込む能力しかなく、学校に入学するための最低条件すら満たしていない。国を救った英雄のYelenaが友人扱いしているために、かえって同級生たちから嫉妬されのけ者にされているOpalは、若い女性らしい劣等感や羨望に悩んでいる。

ガラスの球体の中に嵐のエネルギーを閉じ込め、それをエネルギー源として再使用することを生業としているStormdancer 族で緊急事態が発生した。ガラスの球体が破裂して
最も強力なStormdancerが亡くなったのだ。Opalとその師匠の魔術師ZitoraがSitiaの政府機関であるCouncilから調査を命じられるが、その道中でOpalは命を狙われる。

Opalと同じ族出身で同様にガラス細工でわずかな魔術を保有するハンサムなUlrick、事故で双子の妹を失った悲嘆を引きずるstormdancerのKade、Opalを襲った青い目の謎のSanceed族の男、と3人の男性が自分に自信がないOpalの心を迷わせる。

●感想

Poison Studyに惚れ込んでメールをやりとりしたことがあるMaria V. Snyderの新シリーズということで昨年春発売と同時にStorm Glassを買ったのですが、実は読んだのは最近のことなのです。Poison Studyが大好きだった高校生の娘に先に読ませたところ、「つまらなかった」との感想で、その先入観と、Poison Studyのイメージが薄れて客観的に読めるまで待つことにしました。最近第二部のSea Glassを献本でいただいたので、よい機会だと思い、読んでみました。

Storm Glassは、Poison Studyの記憶が新しい方には、はるかに物足りないものでしょう。というのは、OpalにはYelenaのような強い魅力がないからです。また、Valekのような魅力的な男性キャラクターもいません。Kade, Ulrick, Devlenという3人の男性が登場しますが、いずれもValekに比べたら善も悪もライト級です。そこが娘には気に入らなかったようです。
確かにStorm Glassに登場するすべての人物がPoison Studyに比べると二面的で、それが最も残念なところです。

けれども、Poison Studyで作り出されたあの魔術の世界はそのままです。才能がないことに劣等感を抱き、善良でナイーブなために皆に踏みつけられ、利用されてしまい(ここに出てくるdoormat=ドアマットという表現はそういう意味です)、誰が好きで好きじゃないのか自分でも決めかねて揺れ動くOpalが、辛い経験を積むことで自分の才能や強さを見いだして行く、というストーリーは、巷にあふれているYAファンタジーものよりもずっと良質だと感じました。

(そういえば、Poison Studyのレビューを書いたのはちょうど1年前の1月15日だったのですね。偶然ながら面白いと思いました)

●読みやすさ ★★★★☆

ファンタジー独自の固有名詞や造語以外は平易で読みやすい文章です。
ストーリー的にもあちこちに飛んだFire Studyよりずっと分かりやすい展開です。
この直前に(翻訳が良くないのか)ものすごく読みにくいフィンランド作家のThe American Girlを読んでいたせいでしょう、普段にも増して読みやすさを感じました。

●アダルト度 ★★☆☆☆

露骨な表現はありませんが、性行為に関する話題はあります。Poison Studyよりマイルドで、ロマンチックな部分はありますがいわゆるロマンスブックではありません。

●Glassシリーズ
第二部 Sea Glass(これは後ほどレビューします)

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 助産師としてキャリアをスタート。日本語学校のコーディネーター、外資系企業のプロダクトマネージャーなどを経て、 1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 500 reviewer.

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