主人公の成長で前作より面白くなったグラスシリーズ第二部 Sea Glass

Maria V. Snyder
448ページ
Mira
2009/9/1
ファンタジー/魔術/ロマンス/ヤングアダルト

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ニューヨークタイムズ紙ベストセラーになったファンタジーロマンの傑作Poison Study三部作に続くSnyderの新作Glassシリーズの第二部。第一部は昨日ご紹介したStorm Glass.

Poison Studyに惚れ込んでいた高校生の娘が、Storm Glassを読んで「つまらない」と言ったのは、OpalにはYelenaのようなタフな魅力がなく、登場する男性陣はいずれもうじうじタイプか短気直情タイプ。歳の差を考慮しても、Poison Studyで多くの女性読者を虜にしたようなValekの足下にも及びません。このシリーズのみであれば決して悪くない作品なのですが、Poison Studyを読んでいることが前提のGlassシリーズなので、比べられてしまうのは仕方が無いことかもしれません。OpalがYelenaと異なる「自信がなくて、くよくよ」タイプなのは、まあ当然のことです。同じ性格だったら別のヒロインで別のシリーズを書く理由がありませんから。Opalのシリーズは、少女が大人になる成長物語としてとらえると良いかもしれません。

Opalの優柔不断さにイライラせざるを得なかったStorm Glassですが、今回のSea Glassで、彼女は(Councilを含めて)自分を軽視し、利用した者たちについに宣戦布告します。彼女を痛めつけた悪役も含む周囲が「あんなに良い子だったのに、どうしちゃったのか」と驚く変身ぶりが快く感じるでしょう。またOpalにCouncilを怯えさせる能力がみつかるところもプロットを面白くしています。ちょっとYelenaに似てきますが、どんなにタフな境遇でもいろいろな人々を味方につけてしまったPoison StudyのYelenaではなく、Fire Studyで頑固にみんなを寄せ付けなくなったあのYelenaなのが残念なところです。

欠陥はあるものの、Poison Studyで多くの読者を魅了した不思議な植物や動物、魔術や武術がふんだんに盛り込まれたSitiaとIxiaの世界は現存です。この世界を再び訪問できるのが、私にとっては最も嬉しいGlassシリーズです。

先のStorm Glassでの多くの問題はこのSea Glassで解決しますが、(Opalのlove interestを含む) いくつかの問題が今年秋に発売される第三部に続きます。

●読みやすさ ★★★★☆

前回のStorm Glassより短くて、さらに読みやすく感じます。Fire Study を読んだ方であれば、その半分の時間で読了できるでしょう。

●アダルト度 ★★★☆☆
直接的な露骨な表現はありませんが、登場人物の性関係は示唆されています。

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 助産師としてキャリアをスタート。日本語学校のコーディネーター、外資系企業のプロダクトマネージャーなどを経て、 1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 500 reviewer.

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