The Time Traveler’s Wifeを期待すると失望するゴーストストーリィ Her Fearful Symmetry

Audrey Niffenegger
416ページ (ハードカバー)
Scribner
2009/9/29
文芸小説/現代小説/幽霊/ラブストーリー/双子

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映画化もされたベストセラーThe Time Traveler's Wifeの作者 Audrey Niffeneggerの第二作は、英国のハイゲイト墓地が舞台のゴーストストーリィである。

EgyptianAvenue_HighgateCemetary 白血病で死んだElspeth Noblinは、英国のハイゲイト墓地と地続きの建物にある広いアパートメントを米国シカゴ市に住む双子の姪JulieとValentinaに遺す。彼女たちの母親EdieとElspethはかつてひとときも離れられないほど仲が良い一卵性双生児だったが、ある出来事をきっかけに接触を絶っていた。JulieとValentinaは一卵性双生児というだけでなく、内蔵までが対称的なmirror image twinsである(ミラー・ツイン:やや後期に受精卵の分裂が発生した場合に起こると考えられており、一卵性双生児の25%で発生)。

内蔵が逆さまになっているValentinaは身体が弱く、いつも気の強いJulieの言いなりになっている。大学を辞めたいJulieとそれに従って一緒にやめたValentinaは無職のまま両親の家でゴロゴロしているだけだったので、Elspethの奇妙な条件にもかかわらずアパートに移り住むことにする。

Elspethのアパートの下階には彼女の年下の恋人Roger、上階にはOCD(強迫性障害)のMartinが住んでおり、ValentinaはRogerに強く惹かれる。JulieはValentinaとRogerの仲に嫉妬するが、ValentinaはそんなJulieからますます離れたいと願うようになる。Rogerも
Valentinaと出会ったことでようやくElspethの死から立ち直りかけていたが、幽霊としてアパートに取り憑いてしまったElspethがあらわれ、彼らと交信しはじめる。

●感想

The Time Traveler’s Wifeは少々メロドラマチックすぎるところがありましたが、ストーリーテラーのしての手腕を感じるなかなかの傑作でした。その作者が、英国、墓地、幽霊、双子、OCD…という私ごのみのテーマが揃った新作を書いたというのですから期待せずにはいられません。ことに舞台になったハイゲイト墓地はとても魅力的な場所です。20年前に訪問した印象が今も強く残っています。

叙情詩的な文章と、OCDのMartinとその妻のMarijkeの逸話は美しく、これらだけであれば私は5つ星を与えたでしょう。 ですが、正直言って、メインの「ラブストーリー」にはがっかりしました。まずMartin とMarijkeを除き、すべての中心的登場人物に魅力を感じません。The Time Traveler’s Wifeにもそういうところはあったのですが、他人を愛する理由がただのObsessionというのはいただけません。理屈抜きの病的なObsessionがある筈のMartinとMarijkeの愛情のほうが説得力があるというのはなんとも皮肉なものです。
プロットもバラバラで、ElspethとEdieが守った秘密も現実味がなく、エンディングも後味が悪いものでした。

救いがあるとしたら、MartinとMarijkeの静かなラブストーリーです。アパートから一歩も外に出られないMartinとオランダに住む妻のMarijkeが別々の場所にいながら夕食を共にするシーンには、じんとします。これだけでしたらおすすめの作品です。

●読みやすさ ★★★☆☆

文章は美しく、特に難しいものではありません。

●アダルト度 ★★★☆☆

性的なシーンはいくつかありますが、The Time Traveler’s Wifeよりややマイルドかな、という感じです。高校生以上向け。

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