Battle of the Kids’ Books 第1ラウンド第7マッチ予告編

Battle of Kids
Books
 明日の取り組みです.

対戦:The Storm in the Barn vs. Sweethearts of Rhythm

The Storm in the Barn

対象:小学生〜中学生

グラフィックノベル

大恐慌のさめやらぬ1930年代、米国の中西部農業地帯は深刻な干ばつに襲われ、ミシシッピー盆地は農業が壊滅状態になり、ひからびた砂埃だけの「塵地帯」(Dust bowl)と呼ばれました。このグラフィックノベルの主人公Jack Clarckは、同世代の子どもたちに虐められるシャイな、けれども心優しい11歳の男の子です。雨が一滴も降らず、農業が不可能なために家族の役に立つことができないJackは、移住した者が置き去りにした納屋で不思議な者の姿をみかけます。そして、ジャックはついに自分の勇気を試し、人々の役に立つ機会に出会います。
 

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Sweethearts of Rhythm

対象:小学校高学年から大人まで

ポエムとイラスト

第二次世界大戦前後の1937~1946年、米国には女性だけの「International Sweethearts of Rhythm」というスウィングバンド(16人編成のビッグバンド)が存在しました。今の子どもたちにはとうてい想像できないのは、黒人と白人が同じグループで演奏してはならないという南部の法律でしょう。 Sweethearts of Rhythmの白人のメンバーは化粧で顔をブラウンに塗り、それで演奏したのですが、熱演で汗をかきすぎて観客にそれがばれて逮捕されそうになります。Marilyn Nelsonはそんな逸話をもポエムにしています。Sweetheartsたちが演奏した有名なジャズのナンバーをタイトルにしたポエムは、メンバーが奏でた楽器の立場から書かれていて、ページから当時の音楽が流れ出すような気分になります。
私の娘は、高校のJazzビッグバンドでトロンボーンを演奏しています。バークリー音楽大学の由緒ある高校ジャズフェスティバルで毎年1位か2位になるこのエリートバンドで、娘は唯一の女性メンバーです。彼女の高校だけではなく、ジャズバンドはまだまだ男性がマジョリティです。そんな世界で、しかも人種差別や女性差別が激しかった時代に男性バンドよりも人気があった International Sweethearts of Rhythmが忘れ去られているのは残念なことです。それを現代に美しく蘇らせてくれたのが、Jerry Pinkneyの素晴らしいイラストです。残念なのは、たぶん子どもにはこの良さが伝わりにくいことです。

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下は実際の彼女たちの演奏です。

明日の予測

アルファベットの順で選ばれた対戦なのに、この2作にはいろいろな共通点があります。まずは「絵」が非常に重要な役割を果たしているということ、そして次は米国の干ばつThe Dust Bowlの時代を振り返る歴史ものだということです。

これも予測が難しい対戦です。どちらが優れた本かというとすぐに答えは出ますが、どちらが勝つかとなると、すごく迷います。観点により、どちらにも勝つ可能性があるからです。
もし「子どもが読みたくて、読んで感動する」という意味ではThe Storm in the Barnです。けれども、質では Sweethearts of Rhythmがダントツ上です。簡単に説明するとThe Storm in the Barnは大衆作品であり、 Sweethearts of Rhythmは芸術作品なのです。

今回の審判Anita Silveyはこれまでと異なり、児童書作家ではありません。大学で児童書について教える講師と評論が彼女の専門職です。でも、彼女の著作を読んだことのない私には、Anitaが子どもの視点を重視するのか、本の出来そのものを重視するのかの判断がつきません。

そこで、個人的な好みもありますが、「類似作品がなく、この本にしかない特別な魅力がある」という意味で、私は次の本を選びます。


Sweethearts of Rhythm

連敗が続きそうないや〜な予感。しません?

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