清純アスペルガー君の青春物語ーMarcelo in the Real World

Francisco X. Stork
320ページ(ハードカバー)
Arthur A. Levine Books
2009年3月1日発売
ヤングアダルト/青春小説

Battle of Kids Books残念賞!シリーズ1回戦で敗退

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17歳のMarcelo Sandovalは、軽度のアスペルガー症候群で、発達障害児のための私立学校Patersonに通っている。心理療法の一部として使われる子馬(子どもではなく成長しても小さいままの馬)の世話に情熱をもやすMarceloは、夏休みにここでアルバイトすることを心待ちにしている。
ところが、高校生最後の夏休みを前に、ボストンで弁護士事務所を経営する父親のArturoが、夏休みの間彼の事務所で働くよう命じる。何をやっても許され、受け入れてもらえるPatersonだけでなく、そろそろ「実社会(the real world)を体験するべきだと父は考えていたからだ。アルバイトをうまくやりとげないと秋から公立高校に転校しなければならないと言われ、Marceloはいやいや引き受ける(自閉症スペクトラムの子どもは慣れた環境やルーチーンを変えることが非常に難しい)。

Marcelo(マルセロと発音)は、オフィスの郵便やコピー作成を担当するmail roomで、Jasminの部下として働き始める。Arturoの共同経営者の息子でハーバード大学の学生Wendellも弁護士見習いとしてアルバイトをしており、Arturoは彼と仲良くするようMarceloに命じるが、WendellはMarceloの知能を見下しており、彼を利用してJasminに近づこうとする。複雑な表情が読めず、言葉の直接的な意味しか理解できないMarceloは友情のサインを混乱し、信じていた者の裏切りを知り、悩みながらReal Worldを学んで行く。

●ここが魅力!

昨年発売されてから何度も読もうと思って後回しにしていたのですが、Battle of the Kids Booksのおかげでようやく読むことができました。こんな良い本を読みのがしていたとは…!
何といってもMarceloが魅力的です。
高機能の自閉症スペクトラムのアスペルガー症候群の診断を受けているMarceloは、この症候群に特有で他人の目を見ることができず、表情を読むこともできません。以前The London Eye Mysteryで書いたように、訓練である程度の判断はできますが、直感的に悟ることはできず、すべて分析しなければなりません。父母だけでなく、自分のことも三人称の名前で呼び、常に自分と他人を分析するMarceloは、他人からは「頭の働きが鈍い」と誤解されていますが、その逆ですべてを忙しく分析しているので、時間がかかるのです。これは、今年17歳になった米国人の甥とよく似ています。親戚の中で彼の知能をバカにしている人をよく知っていて、その人の前では全然喋りませんが、後で観察したことを詳細まで全部報告してくれます。

これまで安全な子どもの世界に浸って来たMarceloが、まったくルールの異なる実社会に放り出されて、「大人」として成長するこの物語は、心が暖かくなります。Battle of the Kids Booksではさっさと敗退してしまいましたが、この16冊の中で、私が一番楽しく読めた本でした。

●読みやすさ ★★★☆☆

法律に関する単語などが出てくるのと、訴訟について理解する部分がやや難しいかもしれませんが、会話が多いので読み慣れている方には簡単でしょう。ですが、これまで洋書を読んだことがない方がこの本から始めるのはあまりおすすめできません。★3つと4つの中間くらいで、Twilightのレベル(私がよくTwilightを比較に出すのは、高卒の基礎英語力があれば読めるレベルだからです)より難しいです。

●アダルト度 ★★☆☆☆

Marceloが恋愛と性の問題についてあれこれと悩む部分が出てきます。具体的な場面というのはありませんが、そういった会話もありますし、テーマが高校生以上向きです。

●自閉症、アスペルガーが題材の優れた本

Look me in the Eye
The Curious Incident of the Dog in the Night-Time
The London Eye Mystery

4 Comments

  1. 昨日、この本のAudiobook聴き終わりました(すみません、いつもCDで・・・)。やはり、とてもおもしろくよい本でした。ありがとうございます。

  2. こんにちは。
    私も運転中にAudiobook聴いています。音楽もいいですけれど、Audiobookだと運転が楽しみになりますよね。

  3. やっと見つけて読むことが出来ました。
    「これを読まずして年は越せないで賞」のノミネート前に読んでたら、When You Reach Meと相当悩んだと思われます。
    Marceloのものの捉え方が時に詩的で、とても味わい深い良書でした。これはまたどこかで読み返したいと思います。

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