親友の死という悲劇を取り扱う児童書のクラシック Bridge to Terabithia

Katherine Paterson
1977年初版
208ページ(ペーパーバック)

小学校高学年から中学生/フィクション

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kindleバージョンあり

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1978年ニューベリー賞受賞

ワシントンD. C. の近隣ヴァージニア州アーリントンの田舎に住む Jesse(Jess)は、小学校5年生。姉二人と妹二人に挟まれたたったひとりの男の子として、何かと苦労が多い。実家は農家だが、それだけでは暮らして行けないので父親はワシントンD. C.に出稼ぎしており、残された母は貧乏な生活に不平不満を抱き、Jessに注意を払わない。



Jessが得意なのは"かけっこ"。夏の間にこっそり特訓をして、小学校5年生に進級したら一番になって皆をあっと言わせてやろうと思っている。ところが、隣家に越して来た少年のような少女Leslieは、Jessだけでなくライバルの男の子たち全員を簡単に抜いて一番になってしまう。
女に負けたとたんに競争の興奮を失った少年たちは、"かけっこ"そのものをやめてしまう。最初のうちはLeslieに対して腹を立てたり、避けたりしていたJessだが、そのうちになくてはならない大親友になる。

両親が作家のLeslieは頭も良く、運動もできるが、それだけでなく、壮大な空想力がある。Jessにファンタジーの本の世界を教え、森の中に一緒にTerabithiaという架空の世界を作り上げ、その国のKingとQueenになる。

大雨の日、憧れの音楽教師Miss Edmundsから美術館に誘われたJessはLeslieに連絡せずに1日をワシントンDCで過ごす。楽しい一日を終えて戻って来たJessが知ったのは信じられないニュースだった。

●この作品について

この本はフィクションですが、作者Patersonの体験が色濃く反映しています。1974年、Patersonの息子のDavidの親友Lisaが雷に打たれて亡くなるという事件がありました。子供の死を取り扱う児童書には賛否両論がありますが、この本はたぶんPatersonが息子の心を慰め、Lisaの人生を讃えるために書いたのだと思うのです。
本の最初の献辞にもこう書かれています。

I wrote this book for my son David Lord Paterson, but after he read it he asked me to put Lisa’s name on this page as well, and so I do.
For David Paterson and Lisa Hill, banzai

TerabithiaはPatersonが作り出した架空の名前です。The Chronicles of Narniaに出てくるTerebinthiaという島の名前の盗用ではないか、という意見もあるようですが、聖書にもTerebinth Treeというのが出てくるようですから、どちらも無意識にそこから新しい名前を思いついたのではないでしょうか。

●ここが魅力!

幼い頃、私は玩具など何もなくても想像だけで学校の校庭や野原で胸躍る冒険をすることができました。校庭の隅に秘密の隠れ家を作り、そこに行ける昼休みがどんなに待ち遠しかったことか…。そんな、子供時代にしか味わえない空想の喜びを思い出させてくれる本です。親友の死という悲劇をどう対処するのかを子供たちに考えさせる本でもあります。これを読んだときのわが娘は中学生。Leslieが死ぬことで「何よ、この終わり方!それまでは良かったのに」と怒っていました。でも、著者の息子のDavidが体験したのがそんな突然の死だったと思うのです。そういう意味でもリアリティがある本です。

●読みやすさ やや簡単レベル

学校で英語がまあまあ得意だった方で、洋書を読んだことがないという大人にぴったりのレベルです。難しい単語もあまり出てきませんし、文法も単純です。

●アダルト度

親友の死を取り扱っていますが、小学生からおすすめの本です。

●映画のトレーラー

大人になったDavidが脚本家になり、母親の許可を得て書いたのがこの映画の脚本です。

ですから、これは彼とLisaの物語と言えるかもしれません。

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 助産師としてキャリアをスタート。日本語学校のコーディネーター、外資系企業のプロダクトマネージャーなどを経て、 1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 500 reviewer.

親友の死という悲劇を取り扱う児童書のクラシック Bridge to Terabithia」への6件のフィードバック

  1. Bridge to Terabithia, Kira-kira、2つとも好きな作品です。とりあげてくださってありがとうございます。

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  2. こんにちは、アリゾナさん。お久しぶりです!
    秋に「多読チャレンジ!」という企画をしようと思っています。
    そこで、読みやすく、感動する作品をなるべく多く準備しておこうと思いました。
    今ちょっと忙しいのですが、何冊かラインアップしていますので、近いうちに書きたいと思っています。
    過去に読んだものでご紹介し忘れているものがけっこうあります。
    他にもアリゾナさんのおすすめがありましたら、お知らせください。

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  3. それでは、今のところ思いつくお勧めは、日本でも人気のあるFlowers for AlgernonとGary PaulsenのNightjohnです。

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  4. こんばんは。アリゾナではそろそろ新年度が始まりだしました。小説ではないのですが、Tuesdays with MorrieやThe Last Lectureは感動するし、人生について大切なことがたくさん詰まっているのですきです。

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  5. こんにちは。
    アリゾナさんがあげられた2冊を、最近雑誌の取材でおすすめしたばかりでした。
    8月23日に発売のアエラ・イングリッシュです。

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