夜の妖精の冒険と成長の物語 The Night fairy

Laura Amy Schlitz(文)
Angela Barrett(イラスト)
128ページ(ハードカバー)
2010年2月23日初版
児童書(小学校1年生から4年生程度)/冒険ファンタジー

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Floryは生まれたばかりの夜の妖精Night fairy。蛾のような美しい羽のために、コウモリに蛾と間違えられて齧られ、羽を失って飛べなくなる。夜の妖精はコウモリを恐れないのだが、コウモリに齧られたFloryは彼らを忌み嫌い、恐れるようになる。コウモリがFloryを落としたのは、妖精たちが避ける人間(妖精や動物たちはgiantsと呼んでいる)の庭に植わっている桜の木だった。



夜の妖精は昼間は眠っているが、Floryは偶然目を覚ましたときに見た昼間に溢れる色の美しさに惹かれ、昼の妖精になることに決める。
他の妖精と交流したことがなく、マナーも同情心も知らなかったFloryだが、いつも腹ぺこで最初のうち何度も彼女を食べようとしたリスや、自分を無視し続けるハミングバード、恐ろしい蜘蛛、といった生き物たちとの交流で、友情や愛情のような感情を学んで行き、妖精として成長する。

●ここが魅力!

洋書ファンクラブJr.の読書プログラムで、参加者のもえさんと「私たちで2011年のニューベリー賞の予測をしたら面白いのでは」という提案をしました。これは、私が「候補作」の候補として上げたひとつです(もえさんの感想はこちら)。

文章は、Good Masters! Sweet Ladies! Voices from a Medieval Village で2009年のニューベリー賞を受賞したLaura Amy Schlitzで、イラストは、英国Royal College of Artでロアルド・ダールの作品のイラストで有名なQuentin Blakeと一緒に学んだAngela Barrettです。

この本は、(声が枯れてくるまでの)最初の半分は声を出して読みました。朗読するのが楽しくなる、とても詩的な文章です。

私が惹かれたのは、気まぐれで、マナーがなく、けれども生き残るために一生懸命にいろいろな知恵を出すFloryの「本物らしさ」です。心も見かけも美しくて、健気、といった従来の妖精の雰囲気とは違います。彼女が「生きるために食べなければならない」というそれぞれの生き物の事情をちゃんと理解し、それを尊重しているところも、自然界に住む妖精らしい悟りを感じさせます。タフなところだけでなく、最後にちゃんと、心温まる交流が待っています。幼い子に読んであげ、あれこれ話し合うのに、ぴったりの本です。

Schlitzは2009年にすでにニューベリー賞を受賞していますので、2度目は難しいと思うのですが、これは候補には残ってもよいと思わせる作品です。イラストも美しく、庭が目に浮かんできました。

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