コールデコット賞(あるいはカルデコット/コルデコット:Caldecott Medal)は、アメリカ図書館協会(ALA)の下部組織である(ALSC)が米国でその年に出版された最も優れた子ども向け絵本のアーティストに与えられる賞です(本ではなく、アーティストです。ウィキピディアの記述はそこが間違ってますので要注意)。
2011年の受賞作品を洋書ニュースのほうで発表しましたが、洋書ファンクラブJr.読書プログラムの生徒さんお二人(ひかるさん、みーちゃん)と一緒に「私が審査員であればこれをコールデコット賞に選ぶ」という企画をやってみました。
洋書ファンクラブJr.の与えた最優秀作品!
Interrupting Chicken
David Ezra Stein(文とイラスト)
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お父さんのニワトリが眠れない娘のLittle Red Chickenにベッドタイムストーリーを読んであげることになったのですが、「Interruptしないように」といくら注意しても、Little Chickenは邪魔してしまいます。お父さんはついにぐったり…。
この絵本の魅力は、まず、楽しくて、面白いところです。躍動感があるイラストで、お父さんと娘の感情がはっきりと伝わってきます。ユーモアのセンスがたっぷりあり、しかも、父娘の愛情が胸を暖かくしてくれます。
イラストの使い分けも楽しいところです。
第2位は…
A Sick Day for Amos McGee
Erin E. Stead(イラスト)、Philip C. Stead(文)
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動物たちにとても優しい飼育係のAmos(英語ではエイモスと発音します)さんが風邪をひいて休んでしまいます。心配した動物たちは、バスに乗ってAmosさんの自宅を訪問します…。
みーちゃんとひかるさんの2人が注目されたのが、イラストの色の使い方です。白黒の鉛筆画(他のテクニックもあるのですが、これが中心)で、色がついているのは、ほんの一部だけなのです。最初はそこにばかり目が引きつけられるのですが、読み直すと、面白いものにだんだん気付いてきます。そこにも、文にはなっていない小さな物語があるのですね。
Interrupting Chickenよりも年齢が低い子ども向け、あるいは絵本好きの大人向けではないかと思います。文とイラストは夫婦のコンビです。
残念な第3位は…
Dave the Potter: Artist, Poet, Slave
Bryan Collier(イラスト)、 Laban Carrick Hill(文)
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この本に登場するDave the Potterは、1800年代に生きていた実在の人物です。奴隷の彼の記録が歴史に残っているのは、彼の名前とポエムが刻まれた数多くの壷が残っているからです。
どこがそんなに珍しいことなのか、日本の方にはぴんとこないでしょう。
奴隷には人権がなく、教育を与えることも禁じられていました。それなのに、Daveは100を超える壷にポエムや名前を刻んでいたのです。字が書けるというだけで驚きなのですが、それをおおっぴらに公表していたわけです。ですから、Daveは奴隷としては特別扱いだったのでしょう。
けれども、彼の名前を刻んだ壷以外に彼のひととなりを知る記録は残っていません。彼の人生を語るのは、100を超える壷とそこに書かれた詩の数々なのです。米国の歴史家は、短くて難解な彼のポエムを「俳句」に例えています。
これは、日本に住んでいる子どもにとって(大人にとっても)難しい本です。そういう意味だけでなく、「よい本なのだよ」という説明の必要がないほど楽しいInterrupting Chickenの力には勝てないと思いました。本ってそういうものだと思うのです。