大恐慌時代の移動サーカスとロマンス「Water for Elephants」

Sara Gruen
ペーパーバック: 464ページ
出版社: Algonquin
オリジナル (2006/05刊行)
文芸小説/歴史小説/世界大恐慌時代の米国
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5年前の作品ですが、映画化されたのでご紹介。


ナーシングホーム(老人施設)に入居している Jacob Jankowskiが、若かりし頃に移動サーカスに加わったときの思い出話を看護婦に語る。
世界大恐慌のさなかの米国。Jacobはコーネル大学で獣医学を学んでいたが、獣医の資格を得る寸前にポーランドからの移民である両親が交通事故で亡くなり、全てを失う。Jacobが絶望のうちに加わった移動サーカスの Benzini Brothersは、当時有名だった Ringling Brothersに比べると格段低レベルのサーカスで、動物はひどい扱いを受けていた。

サーカス団員の生活も、オーナーのUncle Alの欲深いマネジメントのために、負けず劣らずひどいものだった。そのひどい環境下で、Jacobはなるべく動物を守ろうとするが、そういった彼の道徳観念が災いして、殴られたり、命の危機に面したり、何度もひどい目にあう。彼は、サーカスの花形である馬乗りのMarlenaに恋をするが、Marlenaの夫は、嫉妬深く暴力的な動物調教師のAugustだ。Augustは、Jacobが愛する象のRosieに対してもひどい扱いをする。
そして、ある日、サーカスで大事件が起きる…。

●ここが魅力!

今なら絶対に許されないような人間の「見世物」や、動物の虐待、生活コンディションのひどさ、変わった登場人物の数々、など大恐慌時代特有の移動サーカスの雰囲気が非常にビビッドに描かれています。それを読むだけでも十分面白いのですが、JacobとMarlenaのロマンス、象のRosieとJacobの間に生まれる愛情、ミステリー、など娯楽的な面白さもたっぷりです。

数年前に大人気になった本で、私の周囲の女性はみんな読んでいたと思います。私の本は、術後に退屈していた友人にあげてしまったのでもう手元にはないのですが、彼女も「ちょうどよい本だった」と喜んでいました。

もう亡くなっているのですが、夫の大叔母さんのミリーおばさんは、サーカスオタクだった人です。彼女が生きていたら、この本と映画についてどう思ったのか、知りたいところです。はっきり意見を言う人だったので、きっと鋭い事を言ってくれたと思うのです。

今年映画公開されるというのは知っていたのですが、主人公のJacobがトワイライトのエドワード(ロバート・パティンソン)と聞いたので、興味を失っていました。私、苦手なんですよ、彼のタイプ…。Marlenaがリース・ウィザースプーンというのにもびっくり。ウィザースプーンは才能のある女優ですが、Marlenaって感じじゃないし、 パティンソンのロマンスの相手にはどう考えても似合わないと思うので…。

映画評論家の話では、「美しいけれどからっぽ」そして、パティンソンの演技は?。Rosieを演じた象のTaiが一番よい演技をしたようです。

 

●読みやすさ 普通(英語ネイティブが普通に読むレベル)

文章がひどい娯楽作品でもなければ、文学的すぎる文芸小説でもない、多くの人に受け入れられやすい文芸小説です。

●対象となる年齢

上記の理由でもう手元にないので細かいチェックはできませんし、詳細は覚えていませんが、高校生以上が対象の内容だったと思います。

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