2011年ピューリッツァー賞(小説部門)受賞作品 A Visit from the Goon Squad

Jennifer Egan
ペーパーバック: 352ページ
出版社: Anchor
発行日:2010/6/8
文芸小説/現代小説
2011年ピューリッツァー賞受賞作(小説部門)
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それぞれの章が異なる人物の視点から書かれており、しかも年代順ではない、というユニークな構成の小説。


現在ではないかと思われるニューヨーク市を舞台にした1章は、有名な音楽プロデューサーBennie SalazarのアシスタントSashaの、孤独でやるせない生活の一シーンを映し出す。2章で読者は1章で名前だけ登場したBennieの現在を知り、3章でBennieが若かりし頃にパンクロックバンドをやっていた頃の仲間(特にScotty Hausmann)に出会う。4章以降も、Bennieを今の仕事に導いたメンターのLou、Bennieの離婚した妻、Sashaの大学時代の友人、恋人、叔父、と多くの人物が登場し、互いに絡み合う。しかも、章の順番は経時的ではなく、現在、過去、未来を飛び移るので、読者は混乱することだろう。

また、著者が「goon squad」とタイトルにつけたように、それぞれの語り手は、「なんでそんなことするの?」とどやしつけたくなるような(本人もそう感じているらしき)「どうしようもない奴(goon)」ばかりである。

けれども、A部がB部(1部2部ではなく、AとBというところもユニーク)に移る頃、突然これらの登場人物が愛おしくなってくる。自分でも情けない、と思うことをやらかし、それに押しつぶされそうになり、それでも生き続け(ることができたら)、成長して人生に何らかの意義を見いだす。そして、それなりの「幸福」も。ここに私たち読者は自分の姿を見いだすのだ。

どこかの章で出て来た人が、他の語り手の章で再び登場する。読者にとってその再会が、まるでジグソーパズルを繋ぎ合わせるように面白い。全ページがパワーポイントという12章が、ストレートに胸にじんとくる暖かい章だというのもこの作品のユニークさである。小説全体にロック(の精神)がBGMとして流れているのもロックファンには嬉しい。

一度読んだらもう二度と読まない本も沢山あるし、昨年のピューリッツァー賞受賞作(小説部門)のTinkersは最後まで読まず捨てたが、この本は何度も読み返したくなる愛しさを感じた。一昨年の受賞作Olive Kitteridgeも良かったが、a visit from the goon squadのほうにより愛しさを感じた。自分自身の人生に照らし合わせた「成長」や人生の意義というものをより身近に感じさせてくれたからかもしれない。

●読みやすさ 普通〜やや難しい

まったく何も知らずに読み始めると混乱すると思いますが、上記のことをわきまえて読めば、あまり難しく感じないでしょう。

●対象となる年齢

性的な表現やシーンはありますが、露骨すぎることはありません。
高校生以上。

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