平凡な母が死ぬまで隠しとおした過去とは The Secret Keeper

Kate Morton

著者:Kate Morton
ハードカバー: 600ページ

出版社: Mantle (2012/10/11)

ISBN-10: 0230759505

発売日: 2012/10/11(アメリカでは10月16日発売予定)

歴史小説(1930年代、1960年代、現在の英国)

2012年「これを読まずして年は越せないで賞」候補作(渡辺推薦)

のどかな英国の田舎に住むNicolson一家にとって誕生日パーティはとても大切なイベントだったが、ロンドンに行って女優になる夢を抱く16歳の長女Laurelはすっかり退屈していた。騒ぎを抜け出してツリーハウスに逃げ込み、将来のことをぼんやり夢みていたLaurelは、そこでショッキングな犯罪を目撃した。

平凡な主婦の母Dorothyが、見知らぬ訪問者を殺害したのである。
けれどもこの事件はスキャンダルにならずにおさまり、Laurelは両親の反対を押し切ってロンドンの学校に入学する。若くして故郷を離れたLaurelが母の秘密を守りつづけたために、妹3人と弟は事件が起こったことも知らずにいる。

事件から50年後、女優として成功をおさめたLaurelは、母の90歳の誕生パーティのために故郷に戻り、母の死が近づいていることを知る。そして、あの事件の真相と母の過去をつきとめることを決意する。

手がかりのひとつは、母が持っていた古いピーターパンの本に挟まれていた写真だった。写真の中で腕を組んで微笑んでいる二人の美しい女性は、母と親友のVivienらしい。だが、母は一度としてVivienという名前を口にしたことがない。

Laurelは、母が殺害した訪問者が有名な作家で、Vivienの夫だったことをつきとめる。富豪の遺産相続人のVivienが住む邸宅の向かいには金持ちの老女が独居しており、そのコンパニオンがDorothyだったのだ。しかし、金持ちのVivienと身寄りのない労働者階級出身のDorothyがどのようにして親友になったのだろうか?

文献で調査を進めるうちに、Laurelは戦渦で死亡したVivienという女性に興味を抱くようになる。死期が近づき朦朧としている母は、Laurelに悔やんでいる過去があることを打ち明けるが、それにはVivienの死とJimmyという青年の運命が関わっているようだ。

●ここが魅力!

初めに告白してしまいますが、私はケイト・モートンの大ファンで、このARCも出版社におねだりしていただいたものです。

ですから、ふつうの読者より点が甘いと思われるかもしれませんが、本当に楽しめた作品です。

モートンが得意とするのは、英国を舞台にした女性の過去の秘密です。

階級差とそれを揺るがすような時代の変化、運命に翻弄され、壊される愛…。過去に埋没している秘密を解き明かしてゆくのも女性です。

少々メロドラマチックに感じるかもしれませんが、モートンの静謐な文章のおかげで、上質な文芸小説になっています。

モートンの作品で最も構造が複雑なのがThe Forgotten Gardenで、最もシンプルなのが今回のThe
Secret Keeperです。第二次世界大戦前から戦時中、1960年代、そして現代という3つの時代だけですし、登場人物もさほど多くはありません。ですから、混乱することは少ないでしょう。

また、彼女の作品は読後感が「やるせない」ことでも知られています。前作のDistant Hoursは、徹底的にやるせなかったThe Forgotten Gardenより切なかったです。処女作のThe House of Rivertonも、胸が苦しくなりましたし、それを思い出して「落ち込むのは嫌だなあ」と躊躇する方がいらっしゃるかもしれません。

でも、今回はその「やるせなさ」が少ないのです。

「秘密」は秘密のままにしておかないと読む楽しさが減りますから詳しくは書けませんが、The Secret Keeperは、最後まで読むとほっとします。

下は、著者自身による物語の説明です。

●読みやすさ ふつう

The Secret Keeperは、これまでのモートンの作品にくらべて構造がシンプルなので混乱することも少なく、最も読みやすいと思います。

いくつかの登場人物の過去と現在が交互に出てきますが、あらかじめそれを知っていたら混乱はしないと思います。

●おすすめの年齢層 高校生以上

性的なシーンもいくつかあるのですが、露骨な表現はありません。

でも、恋愛や結婚がテーマですから中学校の高学年から高校生くらい以上がおすすめです。

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