『イカロスの翼』の教訓に押しつぶされるな! The Icarus Deception

Seth Godin
ハードカバー: 256ページ
出版社: Portfolio Hardcover
ISBN-10: 1591846072
ISBN-13: 978-1591846079
発売日: 2012/12/31発売予定
ビジネス/自己啓発

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ギリシャ神話のイカロスのことは誰でも知っているだろう。太陽にあまり近づくと鑞が溶けてしまうから高く飛んではならない、と父ダイダロスから注意されていたにもかかわらず、イカロスはつい調子に乗って高く飛び過ぎ、海に落ちて死んでしまう。
この神話の教訓は何だろう?


この神話を最初に読んだとき、私は「親(オーソリティ)の忠告に従え」「うまくいっても調子に乗るな」というメッセージだと受け取った。
親から受けた教育が、まさにそのものだったからだ。
「高く飛んだら太陽に焼かれて落ちるから、飛ぶな」という教えは、心の奥深い部分にまで浸透し、それに背こうとするとき、私を自己嫌悪に陥れた。

Draper_Herbert_James_Mourning_for_Icarusだが本書でゴーディンが指摘しているように、ダイダロスは息子に「あまり低く飛ぶな」とも忠告しているのである。それを私たちは忘れている。低く飛び過ぎても水しぶきで翼が重くなって海に落ちてしまうのである。
高く飛んで落ちることを怖れて低く飛び過ぎ、悶々と人生を送っている人は、多いのではないだろうか。

ダイダロスが息子に薦めた「高すぎず、低すぎずない中間層」というのにも問題がある。これは安全なcomfort zoneである。日本の場合、男性は「良い大学に行って、大企業に就職する」、女性は「良い大学に行って、大企業に就職して、よい相手をみつけて結婚する」というのが、親が子に求める典型的なcomfort zoneではないだろうか。

だが、「安定した職」や「理想の職」というcomfort zoneは時代によって変化する。米国では、ある時代は自動車産業に就職することが安定した生活を意味したが、有名大学を卒業して会社の重役になることがスタンダードな目標になり、スタイリッシュな広告業がもてはやされ、80年代はウォール街で大金を動かすことが若者の夢になり、90年代はシリコンバレーで起業することがその夢に取って替わった。その後も、状況はどんどん変わっている。ずっと安全な飛行高度(comfort zone)なんかないのである。

それに対するゴーディンの提案が「アート」である。アートと言っても油絵を描いたり彫刻を作ったりすることではないし、アーティストと言ってもピカソやポロックのことではない。独自で稀で貴重なものを生み出すのがアーティストなのである。

「高望みするな」「お前には無難な人生がちょうどいいんだ」…。親からそう言われ続けてきた私は、凡庸な才能しかない自分が「やりたいことをやる」のは、いけないことなのだと思っていた。今でも「思い上がるな」「何様だと思っているのか」と言われるたびに、「才能のない自分がこんなことを望むのは間違っているのでは…」と打ちのめされる。

だが、私のような人に、セス・ゴーディンは「才能が無い人なんていない!」と活を入れるのである。

彼は、何百人というポジティブな評価の中に混じっていたたった一つのネガティブな批判を気にしている自分に気付き、「ネガティブな批判に耳を傾けても何も得ることはない」という結論に達する。

ゴーディンが引用している次のアインシュタインの言葉にはおおいに同感である。

Everybody is genius. But if
you judge a fish by its ability to climb a tree, it will live its whole
life believing that it is stupid.

学問を極めることに喜びを覚える人がどんなに努力してもトップ
営業マンになることはできないし、逆もしかりだ。「医者になれ」と親から命じられても、音楽を奏でることしか考えられない人もいるだろう。「安全だから」
という理由で他人が選んだ人生を歩んでいたら、「私はダメだ」と思うようになっても仕方ない。
他人が決めた「成功」や「成功への道」に従っても、自分自身が幸せになることはできない。自分の人生は自分でイニシアチブを取るしかないのである。

彼が日本語の「Tariki(他力)」と「Jiriki(自力)」という表現を使ってイニシアチブを説明しているところもなかなか面白い。

ゴーディンが、パティ・スミスの『Just Kids』の次の部分で本を締めくくっているのも嬉しかった。

I knew I had
been trasformed, moved by the revelation that human beings create art,
that to be an artist was to see what others could not.


I had no
proof that I had the stuff to be an artist, though I hungered to be
one… I wondered if I had really been called as an artist. I didn't
mind the misery of a vocation but I dreaded not being called.

アーティストになるための才能を示す根拠などはないにもかかわらず、パティの中には「アーティストになりたい!」という餓えのような渇望があったのだ。「根拠はないが、餓えがある」という感覚が私にはとてもよく分かる。だから、この部分を選んだゴーディンに拍手喝采である。

アーティストになるためには、必ずしも起業する必要はないのである。今の職場で、今の職のままで、アーティストになれる方法はある。それを語る本である。

セス・ゴーディンのことを「胡散臭いおじさん」あるいは「口先だけの表層的なマーケター」と思っている人はたぶん沢山いるだろう。けれども、私は彼を尊敬せずにはいられないのである。
なぜかというと、夫のデイヴィッド・ミーアマン・スコットが大企業を離れて独立したとき、影響を与えたのがゴーディンの“Permission Marketing
”だったからである。
彼は、夫が無名だった頃から手を差し伸べることを惜しまなかった人物でもある。

ゴーディンは、信じることに次々と挑戦し、多くの人々の前でいくつも失敗し、また復活してきた。
彼の書くこと全てに同意するわけではないが、「有言実行」の人が語ることには、必ず耳を傾けることにしているのである。

「では、自分にはいったい何ができるのか?」
そういったディスカッションに適した一冊である。

●読みやすさ 読みやすい

ゴーディンの文章はシンプルで読みやすいので、洋書に慣れていない方にもおすすめです。章も短いので、メッセージを把握するのも簡単です。

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