小学校高学年〜中学生の少女向けの人魚姫クエスト『Deep Blue(Waterfire Saga 1)』

著者:Jennifer Donnelly

ハードカバー: 352ページ

出版社: Disney-Hyperion

ISBN-10: 1423133161

発売日: 2014/5/6

適正年齢:PG10(小学校高学年から)

難易度:中級レベル

ジャンル:児童書(小学校高学年から中学生向け)/ファンタジー

キーワード:人魚/魔法/冒険/ガールパワー

 

海底から川まで水の世界には人魚(merpeople)の世界が広がっていた。人がその存在を知らないのは、魔術で防衛していたからだった。地中海の王国に住むSerafinaは統治者の娘として近接の王国の王子Mahdiと政略結婚することになっていた。

だが、婚約式を前にしてSerafinaは奇妙な悪夢を見るようになっていた。


古代の悪魔が蘇るというものだった。そして、婚約式の日に悲劇が起こる。Serafinaの国が正体不明の1団に襲われ、統治者である母が暗殺者の毒矢に倒れたのである。緊張関係にある他国からの攻撃に見えたが、じつはもっと深い陰謀があるのだった。SerafinaはMahdi王子の従妹で親友のNeelaとともに逃亡し、国家間の戦争勃発を止めるために謎の夢に導かれて冒険の旅を始める。

 

作者のJennifer Donnellyは、 the Tea RoseRevolution, Northern Lightといった歴史小説で知られており、卓越したストーリーテラーである。ファンには女性が多いが、the Tea Roseなどは大河ドラマが好きな人なら男性でも楽しめるし、YA(高校生対象)もののNorthern Lightは青春小説+ミステリとして誰でも楽しめる。私は以前からDonnellyの大ファンだったので、新刊を発売前に読めるチャンスに飛びついた。

だが、読み始めてすぐに「これ、同姓同名の新人作家じゃないの?」と首をかしげてしまった。

これまでのDonnellyらしさがまったく感じられないのである。

主要人物(人魚)は、思春期の女の子たちである。最初に王子様云々があるが、その後はほとんどガール人魚たちが知恵を使って助けあう「クエスト」ものである。それに対して「女の子に読ませたい素晴らしい本だ」というレビュアーもいるが、私は人工甘味料入りの健康食品のように感じてしまった。

相手がたとえ小学生であろうとファンタジーの世界観は重要だと私は思っている。どんなに現実離れしていてもいいが(というか現実離れしているほうが面白いのだが)、その世界の中では辻褄が合わなければならない。それなのに、この水の世界は地上の人間界の奇妙なコピーなのである。人魚たちは人間のようなドレスを着て、イヤリングまでつけている。女の子人魚たちは、ファッションや恋愛のゴシップを交わし、女の子らしい意地悪な噂を流したりする。人間界のことを知らない人魚が人間と同じことをするだけで奇妙だが、しかもその文化がアメリカ人だというのはやはり許せないと思った。

歴史小説を専門にしてきたDonnellyにとって、人魚ものでしかもこの年齢層対象は初めての挑戦である。だから勝手がわからなかったのかもしれないが、彼女にアドバイスを与えたディズニーの編集者に問題があるような気がしてならない。文章もセッティングも、まったくDonnellyらしくないからだ。

他のDonnellyファンとも意見を交わしたが、彼女も同じ意見だった。

結論:人魚姫などが好きな小学校4、5年生から中学生の少女には「友情って大切!女の子にもパワーはある!」と感じられて楽しいシリーズだと思うが、Donnellyファンは避けたほうがいい。

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