日本の企業が変わるためのヒントが満載の本『Finding the Next Steve Jobs』

著者:Norlan Bushnell, Gene Stone(ゴーストライター)

ハードカバー: 256ページ

出版社: Simon & Schuster

ISBN-10: 1476759812

発売日: 2013/9/24

適正年齢:PG(特に問題表現はないが、内容は経営者と起業家むけ)

難易度:中級レベル(日本の高校英語を学んだ人にとって最も読みやすい類の本)

ジャンル:ビジネス・実用書

キーワード:会社経営、雇用、スティーブ・ジョブズ、アタリ、チャッキーチーズ

 

著者のNorlan Bushnell(ノーラン・ブッシュネル)は、 日本でも有名なゲーム会社「Atari(アタリ)」とアメリカ人の子どもなら誰でも知っている「Chuck E. Cheese's(チャッキーチーズ)」(シアターや室内遊戯場があるピザチェーン店)の創業者である。そして、アタリ時代に若きスティーブ・ジョブズを援助し、それ以降も個人的にアドバイスをしてきたことでも知られている。

Bushnellは、企業が生き残ってゆくためには変化し続けなければならないと強調しているが、そのためには創業者だけでなく、社員全体に創造力が必要だと自覚している。


本書は、創造力があり、競合よりも素早く変身を続けられる企業であるために、どのような社員を雇用し、どのように彼らを管理し、自分自身がどうあるべきなのかを非常にわかりやすく書いた本である。

私は経営者ではないが、アメリカ人の起業家を何人か知っており、彼らの話をよく聞くので、読んでいて何度も頷いた。また、『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ 』とも重なる部分も多い。

今年初めに南米に行ったときに、シリコンバレーで働く中国系アメリカ人と出会って雑談しているときに「日本企業は変わりそこなってしまった。これからは中国でもない。インドだよ」という話になった。なぜかというと、インドからの移民たちは才能の多様性とか創造力に力を入れているからだという。そんなことも思い出しつつ読んだ。

ふだん私は英語の原書だけを読むか、あるいは原書を読んだ後で邦訳版を読むのだが、本書は邦訳版の『ぼくがジョブズに教えたこと』の献本をいただいたのがきっかけで、後で原書に目を通した。

原書も邦訳版も、非常にわかりやすく書かれている。文章が分かりやすいのは、経験を積んだプロのゴーストライターが書いているからである。忙しい経営者は本をまとめている暇がないので、ゴーストライターを使う人は多い。このようにゴーストライターが書いた文章は、かえって簡潔で読みやすい場合が多い。特に、この文章は日本の高校で学ぶ英語でわかりやすいので、挑戦してみてもいいかもしれない。

日本で現在行われている「就活」で新人を雇うやり方とは対極にある考え方なので、経営に関わる人にはぜひ読んでいただきたいと思った。

 

 

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