ちょっと怖くて、切なくて、じんとする『雪の女王』の現代版児童書 『Ophelia and the Marvelous Boy』

著者:Karen Foxlee

ハードカバー: 240ページ

出版社: Knopf Books for Young Readers

ISBN-10: 0385753543

発売日: 2014/1/28

適正年齢:PG10(小学校高学年から中学生向け)

難易度:初級〜中級レベル(初級には文章と単語が難しいが、ページ数が少なくて読み切りやすい)

ジャンル:児童書/ファンタジー/童話のリメイク/ホラー
キーワード:The Snow Queen、雪の女王(アンデルセン童話)

 

3ヶ月前に母を亡くした11歳の少女Opheliaは、その悲しみだけでなく、悲嘆ですっかり人格が変わってしまった父と姉から無視される寂しさに耐えている。父親は、愛する妻を失った哀情から逃れるように北国の博物館で鑑定の仕事を引き受け、一家三人は一年中雪に閉ざされた都市に出かけた。

古い刀の鑑定のためにOpheliaの父を招待した女性博物館長は、Opheliaの姉のAliceを気に入り、美しいドレスや宝石を与えて特別扱いする。父も、美しい館長に魅了されているようだ。孤独なOpheliaがひとりで博物館を探索しているとき、鍵がついた部屋に幽閉されている少年を発見する。何百年も前に賢者(wizards)たちから選ばれてThe Snow Queen(雪の女王)を倒す使命を受けた少年は、Opheliaに援助を頼む。


Opheliaは、科学的な根拠しか信じない現実的な少女である。だから、Wizardたちから名前を奪われたという少年の体験談を聞いても半信半疑だ。それでも、少年が何者かに閉じ込められているのは確かだし、女性館長を信用できないことはOpheliaにも薄々わかっていた。姉や父に話しても、信じてくれないのは確かだ。そのうえ、Opheliaは臆病者なのだ。恐ろしさと寒さに持病の喘息発作を起こしながら、Opheliaは少年を助けようとする。

アンデルセンの有名な童話を元にした現代版『雪の女王』だが、ずいぶん内容は違う。
主人公の少女はもともと勇敢ではなく、臆病者でひ弱だ。空想好きではなく、科学的根拠がないことは否定するタイプの子である。そのOpheliaが、嫌々ながら少年の願いを聞いていくうちに、だんだん勇敢になっていくところがいい。また、母を失った悲哀で家族がバラバラになっていくのを、一番年下のOpheliaが救おうとするのも胸にじんとくる。

文章が創りあげるイメージが美しく、児童書だがけっこう怖くて、ニール・ゲイマンを連想させるところがある。

成人向けの小説はハードルが高いが、いわゆる「多読用」の本に飽きている人に、ぜひお薦めしたい。

児童書の文学賞候補になることが予想される作品

表紙と中のイラストは日系のイラストレーターYoko Tanakaさん。

 

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