Game of ThronesをマイルドにしたようなYAファンタジー『Half a King (Shattered Sea #1)』

著者:Joe Abercrombie

ハードカバー: 352ページ

出版社: Del Rey

ISBN-10: 0804178321

発売日: 2014/7/15

適正年齢:PG12(中学生以上、残酷なシーンあり)

難易度:上級レベル(英国の作家で、米国のYA小説よりも文章は長めで複雑)

ジャンル:ファンタジー(Sword & Sworcery/Grimdark)/YA(ヤングアダルト)/冒険・バトル

キーワード:王国、王座、復讐、バトル、裏切り、航海、奴隷

 

Gettland王国の王子Yarviは、生まれつき片手が形成不全で指がひとつしかない。それゆえに、刀の訓練も受けたことがなく、闘いに長けた父、人々からGolden Queenとして崇められている母、後継ぎの兄から邪険にされてきた。Ministerという国王の参謀役になるために、Gettlandの参謀Mother Gundringに弟子入りして歴史、言語、経済、外交などを学んでいる。


結婚もせずに国に一生を尽くすMinisterになるつもりだったYarviだが、隣国Vansterlandに外交ミッションで出かけた父と兄が殺され、突然国王の座に就くことになる。心身ともに国王の器ではないと自覚しているYarviは、自分のことを『Half a King』だと自嘲する。

気が進まないながらも、Yarviは新しい国王の責務を果たすために神の前で父と兄の復讐を誓う。しかし、裏切りにあって他国で奴隷として売られてしまう。首に鉄の輪と鎖をつけられた不自由な身で、Yarviは知恵を使って復讐への長い道のりを歩き始める。

 

2006年に The Blade Itselfでデビューした著者Joe Abercrombieは「Lord of Grimdark」と呼ばれるほど、書く小説の内容が暗くて残酷だ。Grimdarkとは、Grime(残酷で容赦ない) と Dark(暗い)を合わせたファンタジー系の造語で、George R.R. MartinのA Song of Ice and Fireシリーズ(テレビ番組では、第一巻『Game of Thrones』のタイトルで知られている)と共通したところがある。また、ファンも重なる。

AbercrombieとMartinの作品は、ファンタジーのサブジャンルとしては「Sword & Sworcery」(名前のとおり、刀と魔法が主軸)にも属する。本書には魔法は出てこないが、同様の作品が好きな人にとっては作品の雰囲気を推測するうえで役に立つ分類だ。

『Half a King』は、著者にとって初めてのYA(ヤングアダルト)小説のせいか、GrimでDarkだけれども、いつもほどではない。主人公のYarviは、Game of ThronesのTyrionタイプで、読者が感情移入しやすいだろう。これは『Shattered Seaシリーズ』の第一巻なので、今後どんなにGrimでDarkになるかは不明だが、あまりGrimにはなってほしくないというのが本音である。

 

 

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