タイトルに惹かれて買って後悔したアドバイス本 Good Manners For Nice People Who Sometimes Say F*ck

著者:Amy Alkon
ペーパーバック: 289ページ
出版社: Griffin
ISBN-10: 1250030714
発売日: 2014/6/3
適正年齡:PG15
難易度:中級〜上級(文法はシンプルだけれど、中級レベルではジョークや流行り言葉は理解できない)
ジャンル:人生相談/自己啓発書(マナー)/ユーモア
キーワード:アドバイスコラム、マナー
ゴミ箱行きの本(久々に)

ロサンゼルス在住でネットや新聞で人生相談をしているアドバイスコラムニストのAmy Alkonによる(ユーモアを含む)人生相談書。

Amy AlkonはThe Advice Goddessというサイトで人生相談に答えたり、ブログを書いている人気コラムニストである。私は彼女のコラムをこれまで読んだことがなかったのだが、タイトルとアマゾンでの好評価につられて読んでみることにした。


ユーモアあるアドバイスに笑えることを期待していたのだけれど、読み始めてすぐに違和感だらけ。どこまでいっても笑えない。ユーモアのつもりの著者の表現にムッとし、ときおり憤りすら覚えてしまった。

同感できるアドバイスもあったのだけれど、私なら絶対にGood Mannerだと思えない部分があまりにも多い。特に著者が薦めるネットを使ったPublic Shaming(公の場での辱め)には強く反対したい。

著者Alkonは、彼女の家の前に捨てられていたゴミに腹を立て、使い捨て手袋を使って中身を探った。ゴミから出てきた住所と名前でインターネット検索をし、主が外国出身の裕福な医師であることを突き止めたAlkonはその医師にメールをする。そこで返事が来なかったので、ネットでゴミの写真まで公開してその医師を糾弾したのである。

Alkonは、自分の家の柵に立ちションする男性など公共の場で悪い行いをしている人の写真やビデオを撮ってネットで晒すpublic shamingも積極的に薦めている。

これらを読んで、心底げんなりしてしまった。

そもそも、ゴミについては捨てた本人のせいではなく、(アメリカではよくある)いい加減なごみ収集車のせいかもしれない。ゴミの箱を放り投げるようにして入れるから、ゴミの日にはわが家のゴミを含めて、他人の家のゴミが散乱していることがけっこうある。収集車からこぼれ落ちた可能性だってある。

自分の家の庭に犬の糞を落とされる体験は私にもよくあるし、草刈りの途中にうっかり踏んでしまって激怒することもある。けれども、それをしている近所の人たちの写真を撮ってネットという(いったん載せたら、完璧に消すことができない)怪物に載せるほどの罪とは思わない。

Alkonにとっては罪と罰のバランスがとれているかもしれないが、それは彼女の個人的な判断にすぎない。ネットを使ったpublic shamingとは、個人の怒りにもとづいて裁判なしに刑を決めるのと同じだと思う。それを奨励するアドバイスコラムニストなんてひどい。

そもそも、私ならさほど気にしないことに、Alkonはいちいち激怒している。こんなに怒ることが多かったらさぞ疲れるだろうし、そういう人が周りにいたら悪影響を受けて自分もちょっとしたことで腹をたてるようになりそうで怖い。

私は音楽プロデューサーの亀田誠治さんとの対談のように考えているので、この著者とは本当に気が合わないと思った。

もしかすると、西海岸(ロサンゼルス)に住む著者と東海岸(ボストン)に住む私との環境の差があるのかもしれない。それにしても、LAってこんなに失礼で憤っている人が多いのかなあ???

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