ウェールズの奇妙な寄宿学校を舞台に繰り広げられる新しい児童書ファンタジーシリーズ Dreamwalker (The Red Dragon Academyシリーズ #1)

著者:Rhys Bowen/ C.M. Broyles
ペーパーバック: 270ページ
出版社: Createspace
ISBN-10: 150310205X
発売日: 2014/11/12
適正年齢:PG 8 (小学校高学年から中学生向け。性的コンテンツなし)
難易度:中級レベル(ページ数は多いが、難しくはない)
ジャンル:児童書/ファンタジー/冒険
キーワード:ドラゴン、ウェールズ、鏡の国のアリス、超能力、寄宿学校

母を失って孤児になった12歳のAddison(Addy)は、子供嫌いの叔母の手配で、住み慣れたアメリカのカリフォルニアからイギリスのウェールズにある寄宿学校に放り込まれてしまう。

Red Dragon Academyという寄宿学校に着いてみると、まるで監獄のような巨大な城だった。不思議なことに、子供たちはそれぞれ異なる目的でこの学校に集められていた。科学で天賦の才を持つ少年は最先端の科学教育を受けるために、フランス人オペラ歌手の娘は英語を上達させるために、そしてAddyが仲良くなった少女は上流階級の子が行くすべての寄宿学校から逃げ出して行き場をなくした結果だった。
Academyに来る前からAddyはとてもリアルな悪夢を見るようになっていた。そして、学校に着いてからはもっと奇妙なことが起こる。鏡を通り抜けて、何もかもが反対の恐ろしい学校に迷い込んでしまったのだ……。

アガサ賞、アンソニー賞を受賞している『A Royal Spyness Mystery(貧乏お嬢さま)シリーズ』で有名なRhys Bowenが、娘のC.M. Broylesと共著した子供向けのファンタジーシリーズ The Red Dragon Academyの第一巻。

A Royal Spynessを期待して読むとがっかりするかもしれないが、小学校高学年から中学生向けの冒険ファンタジーとしては良作だと思った。

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ウェールズの国旗

シリーズのタイトルにもなっているRed Dragonは、英国ウェールズの国旗に描かれているほどでウェールズ人にとっては重要なシンボルである。Red DragonがWhite Dragonを倒した有名なウェールズ伝説があり、それがこのシリーズでも大きな意味を持つことが示唆されている。

まず、舞台になる謎めいた雰囲気の学校がいい。ちょっとハリー・ポッターを連想するが、それよりはずっと軽いのであまり比べないほうがいいだろう。

次に、読者が感情移入できる7人の主要な子供たちの設定もいい。それぞれに特別な能力を持った彼らが手をつないで敵を倒すことになるのだが、この巻ではまだ全員の能力が明らかにならない。特に7番目の能力が謎で、そこに将来どんでん返しが待っていそうな予感がする。

子供たちはややステレオタイプで(インド人の少年が科学ギークというところなど)気になったが、この年代の子供たちにとっては深いキャラクターより、わかりやすくて面白いキャラクターが沢山出てくるほうがいいのはたしかだ。また、次々にやってくる危険にドキドキはらはらするけれど、悪夢を見そうな残酷シーンがないのも児童書としていい。

Bowenは人気作家なのに、本書はこれまでの作品とはジャンルが違うためか大手出版社からではなく、自費出版している。自費出版だが、 Rick RiordanのPercy Jacksonなどと質は変わらない。少々女の子的な視点が多いが、アクションたっぷりなので男の子が読んでも楽しめるだろう。(私は大人だが、子供心に戻ってけっこう楽しんだ)

キンドル版が安いのでおすすめ。(私は電子版のARCをいただいたけれども特に読みにくいことはなかった)

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