無料ウェブコミックでスタートして全米図書賞候補になった風変わりなアメコミ NIMONA

著者:Noelle Stevenson
ペーパーバックorハードカバー: 272ページ
出版社: HarperTeen
ISBN-10: 0062278223
発売日: 2015/5/12
適正年齢:PG 12(中学生以上)
難易度:中級レベル(ニュアンスを理解するのは難しいかもしれないが、筋はわかりやすい)
ジャンル:コミック/YA(ヤングアダルト)/風刺・ユーモア
キーワード:アメコミ、スーパーヒーロー、ウェブコミック
文芸賞:全米図書賞候補

アメコミ(アメリカン・コミックス)のスーパーヒーローものを読んだことがある人ならよく知っていると思うが、ヒロインはどこでも「そんな格好誰もしないだろ!」とツッコミを入れたくなるようなセクシーポーズばかり取らされている。

そういったアメコミ界の女性差別的な雰囲気を嘲笑するために、筋肉隆々の有名なスーパーヒーローにスーパーヒロインが取るポーズを取らせるパロディtumblr企画「The Hawkeye Initiative」を始めたのが、当時大学でデザインを専攻していたNoelle Stevensonだった。

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この企画が大ヒットしただけでなく、Noelleがウェブで無料公開していた連載コミックのNIMONAは口コミで大人気になった。

そうしているうちに、大手出版社のハーパーコリンズから声がかかり、出版されるやいなやベストセラーになり、20世紀フォックスが映画権を買い、なんと、コミックブックでありながら、全米図書賞の候補作(YA部門)にも選ばれたのである。
著者のNoelleは、まだたったの23歳だ。

NIMONAのどこがそんなに特別なのだろう?

まず、主要人物がふつうのアメコミヒーロー、ヒロインとは違う。
ふつうのアメコミでは、ヒーローと悪役がはっきりしている。でも、このNIMONAでは、ヒーローのGoldenloin(なんて名前だ!)と悪役のBlackheartでは、Blackheartのほうが好人物なのである。そして、彼らに役割を振った本物の悪役が別に存在する。このしがらみは、私たちが住む社会や、属している組織のようなものである。

また、Blackheartのところに押しかけで「サイドキック」として弟子入りした女の子Nimonaは、見かけによらず相当な問題児だ。最低限度のvillainでいたいBlackheartに、もっとvillainであるようたきつけたりする。笑えるのだが、ブラックなところもけっこうある。

日本の漫画とも、アメコミとも異なる独自の画風もなかなか味がある。

特別にすごいことが起きるわけではないが、ステレオタイプのアメコミへの風刺が効いていて、しかも現代的な愛のテーマも含まれている。アメコミがあまり好きではない私でも、ジンワリと好きになった。

著者のサイトで最初の3章だけ無料で読むことができる。(サメのところは、何度見ても笑えるので、ぜひどうぞ)

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渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 助産師としてキャリアをスタート。日本語学校のコーディネーター、外資系企業のプロダクトマネージャーなどを経て、 1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 500 reviewer.

無料ウェブコミックでスタートして全米図書賞候補になった風変わりなアメコミ NIMONA」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 2015 これを読まずして年は越せないで賞候補作 | 洋書ファンクラブ

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