アメリカ南部ゴシックロマンが魅力のミステリ The Gates of Evangeline

著者:Hester Young
ハードカバー: 416ページ
出版社: G.P. Putnam’s Sons (2015/9/1)
ISBN-10: 0399174001
発売日: 2015/9/1
適正年齢:PG 15(性的なシーンはあれど、表現はマイルド。高校生以上)
難易度:上級レベル(文章としてはシンプル)
ジャンル:ミステリ/ゴシック・ロマンス
キーワード:アメリカ南部ルイジアナ州、南部の上流家族、家族の秘密、ニューオリンズ、マルディグラ、霊能力、誘拐、殺人、ロマンス
賞:Publishers Weekly Best Book of 2015の1冊

愛する幼い息子を予期しない病で失ったシングルマザーのCharlotte “Charlie”は、裕福な女性を対象にした女性雑誌の編集長の仕事に以前のような魅力や執着を感じなくなっていた。仕事を辞めたくなっていたとき、以前勤務していた出版社から依頼があり、Charlieは未解決の誘拐事件についての本を執筆するために南部のルイジアナ州に向かった。

30年前、南北戦争前から続く裕福なDeveau家の末息子Gabrielが姿を消した。誘拐を示唆する手紙が残されていたが、その後犯人からのコンタクトはなく、未解決のままで終わっていた。報道を嫌っていたGabrielの父が他界し、母が癌で余命わずかになったので、スキャンダルでの収入を狙う娘二人が出版社に本の出版を提案したのだった。

リベラルなニューヨークから来たCharlieは、奴隷を使っていたプランテーションと、その富で作られた豪邸のEvangeline、そして何よりも中年の娘たちの人間性に驚き、嫌悪感もいだく。

だが、Charlieがこの仕事を引き受けたのは、雑誌社の仕事を辞めたかったからだけではなかった。
息子を亡くしてから不眠症だったCharlieは、睡眠薬をやめてから奇妙な夢を見るようになっていた。夢と呼ぶにはあまりにもリアルな幻想のなかで、子どもが事故や病気になる。しかも、それが的中するのだ。とくにJoJoという少年が殺される夢がCharlieを悩ませていたのだが、30年前に姿を消した3歳のGabrielがどうやらそのJoJoらしいのだ。JoJoから助けを求められたCharlieは、迷宮入りの事件を解決するのが自分にできることだと思い込む。

南部のニューオリンズ近辺は、アメリカでも最も心霊現象や幽霊が多い(という報告や言い伝えがある)地域だ。その南部を舞台にしたこの小説は、ストレートなミステリではなく、ゴシック・ロマンスの雰囲気たっぷりだ。

ゴシック・ロマンスとしては特に新しいことはないが、リベラルなニューヨークの知的エリートの女性が労働階級のテキサスの男性に対して覚える「差別心」を取り扱っているのはなかなかよかった。たとえヒロインの考え方に賛成できなくても、「リベラルだって差別するよね」という事実をリベラルな土地に住む著者が書いたのはいいことだ。

Publishers Weekly のBest Book of 2015の1冊に選ばれただけあって、ぐいぐい引き込む魅力はある。だが、通常のミステリに含まれているロマンス以上にロマンス色が強い気がしたので、本格的なミステリファンには物足りないかもしれない。

 

 

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