木にも動物にも人にも優しくなりたくなる児童書 Wishtree

作者:katherine Applegate (One and Only Ivan)
ハードカバー: 215ページ
出版社: Feiwel & Friends
ISBN-10: 1250043220
発売日: 2017/9/26
適正年齢:小学校高学年から中学生
難易度:中級レベル
ジャンル:児童書(8−12)
テーマ/キーワード:自然保護、友情、red oak、移民、偏見

北アメリカ原産のred oak(アカガシ)は、長いものでは500年生きることで知られる長寿の木だ。
木の穴には、リスやアライグマ、フクロネズミ(opossum)、フクロウが巣を作る。

200年以上生きているアカガシのレッドは、これまで多くの動物のアパートメントの役割も果たしてきた。そして、地元の人々の間では願い事をする「Wishtree」でもある。毎年5月1日には、人々が紙や布に願い事を書いて枝に結ぶ。

レッドは、これまでに良いことも悪いことも嬉しいことも悲しいことも沢山見てきた。親友のカラスのボンゴは、楽観的すぎると言うけれど、それでもレッドは楽観的であることを誇りにしている。

でも、楽観的でいることが難しい出来事が次々に起こっていた。

あるとき、憎しみに満ちた男が来て、レッドの幹に「Leave(出て行け)」と彫り込みを入れたのだ。それは、近くの家に新しく越してきたイスラム教の家族に対するメッセージだった。孤独なその家の少女が、レッドの幹に「友だちがほしい」という願い事を書く。レッドは、ボンゴや住人のオポッサムの家族たちに頼んで、少女と隣家の少年が友だちになるような計画を練る。

同じ時、レッドにも危機が訪れる。

この場所の持ち主の老女がレッドを切り倒すことに決めたのだ。

今度は、レッドのおかげで仲良くなれた少女と少年がレッドを救おうとする……。

ストーリー展開も最後まで飽きないし、徹底的に楽観的なアカガシのレッドと、皮肉屋のボンゴのやりとりや、大事な場面ですぐ気を失ってしまうオポッサムの母と子供など、子供の読者にウケそうなユーモアがたっぷりある。

そして、木や動物たちへの興味をかきたててくれ、人の善意も信じさせてくれる、とても心地良い本だ。

小学校高学年から中学生向けの本なのだが、もっと広範囲の読者にも愛される作品だ。こっちのほうがニューベリー賞にふさわしかったのではないかと思ったのだが、アメリカの一般読者も同じように感じたようで、こちらのほうが受賞作のHello, Universeよりも売れている。

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 多くの職を体験し、東京で外資系医療用装具会社勤務後、香港を経て1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 100 reviewer.

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