本好き人間嫌いのヒロインが恐る恐る築いていく人間関係 The Bookish Life of Nina Hill

作者:Abbi Waxman
ペーパーバック: 352 pages
Publisher: Berkley
ISBN-10: 0451491874
ISBN-13: 978-0451491879
適正年齢:R(一般向け)
難易度:中級+〜上級(ときおり理解できない文章や単語があるかもしれないが、全体的には把握しやすいと思う)
ジャンル:女性小説/ロマンス

書店で働くニーナ・ヒルの人生で重要なのは、本とトリヴィア(豆知識)クイズ大会。猫のフィルとの2人暮らしで十分であり、できれば他人とは関わり合いになりたくない。世界中を飛び回っている有名な写真家の母とも、親子らしい関係はない。

だが、存在すら知らなかった父親が亡くなり、突然、腹違いのきょうだい、叔父、叔母、甥という大家族ができてしまった。亡き父は大金持ちだったらしく、遺産を期待する家族のなかには、突然現れた婚外子のニーナを快く思わない者もいる。ニーナは「遺産などいらない。関わり合いになりたくない」と主張するが、そう簡単なことではないらしく、巻き込まれてしまう。

ときおり甲羅から首を出すけれど、ちょっとでも嫌なこと、不安なことがあると首を引っ込めてしまうのがニーナの生き方だ。だが、新たに得た家族たちが、それを強制的に変えるきっかけになる。

一応ロマンス小説のカテゴリだが、ロマンス要素よりも、風変わりな登場人物たちの関わりが楽しいchick-lit(女性小説)だ。ヒロインとしての魅力にはちょっと欠けているニーナだが、こういう人は意外と多いと思うし、自分を投影する読者もいるだろう。本好きにとっては、「あるある」的な部分も多く、疲れたときや、バケーション先で軽く読むのにおすすめの小説。

アメリカでは、パブやバーで、チームを組んだトリヴィア大会をするのが流行っている。この小説にもそれが出てくるのだが、そういった「アメリカの現在」が読めるのも楽しいところだ。

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