ミステリを読み慣れている読者には物足りないかもしれない2019年の話題作 The Silent Patient

作者:Alex Michaelides(デビュー作家)
ハードカバー: 325ページ
出版社: Celadon Books
ISBN-10: 1250301696
ISBN-13: 978-1250301697
発売日: 2019/2/5
適正年齢:PG15(一般向け)
難易度:中級+〜上級(大人向けの小説としては非常に読みやすいし、理解しやすい)
ジャンル:ミステリ(心理スリラー)
文芸賞:2019年Goodreads Choice Award(ミステリ部門)受賞作

毎年、出版社のイチオシ作品で、発売の前から話題になっている本がある。このThe Silent Patientもそのひとつだ。

作者のAlex Michaelidesにとってこの小説がデビュー作だが、彼はその前にThe Devil You Knowという映画の脚本を書いていたようだ。この作品も、映画化を意識しているのが垣間見える。

次のような設定は、心理スリラーのファンにとって、かなり魅力的だ。

有名な画家のアリシアと売れっ子のファッション写真家のガブリエルは理想的な夫婦のようだった。だが、ある日、何の前触れもなく、妻が夫を殺した。アリシアは、それ以来一言も語らないようになり、そのまま有罪判決がくだされた。けれども、精神疾患であると判断され、通常の刑務所ではなく、犯罪者病棟に入所していた。この施設が新たに雇った犯罪心理セラピストのセオは、沈黙を守り続けるアリシアに興味をいだく。なぜアリシアは夫を殺したのか? なぜ彼女は沈黙を守るのか? セオはそれを探ろうとする。

私も期待していたのだが、読んだときの率直な感想は、「多くの意味で、がっかりするものだった」というものだ。忙しい時に読んでいたせいか、Goodreadsには英語でそれだけしか書いていなかった。いったい何にがっかりしたのか、自分でもすっかり忘れている。

何にがっかりしたのか思い出したかったので、再びざっと読み返してみた。

ようやく次のような点にがっかりしたのを思い出した。

・設定は興味深いが、スリラーを読み慣れている人にとって、構成やプロットにはデジャヴュ感が強い。先が見えてしまう。
・悪役(少し読めばすぐ推測できる)がバカすぎる。心理スリラーの悪役は、もっと狡猾でないとつまらない。
・人物構築が浅すぎて、それぞれの登場人物にリアルさがない。ゆえに、感情移入もない。
・「テレビドラマ化したら面白くはなるかも」という感想を抱く小説は、小説としての価値が低い

だが、あまりスリラーを読んでいない人にとっては、あっと驚く展開かもしれないし、面白いのではないかと思う。実際に2019年のGoodreads のChoice Awardでは、ミステリ部門で受賞している。

英語も簡単なので、心理スリラーに挑戦してみたい方にお勧め。

2件のコメント

  1. ページターナーで、私はけっこうおもしろく読みましたが、渡辺さんががっかりした点として挙げられている「登場人物にリアルさがない。ゆえに、感情移入もない」というご指摘には大きく頷きます。確かに、映画化されそうな小説ですね。

    いいね: 1人

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