静かに大ベストセラーになった、全年齢向けの絵本 The Boy, the Mole, the Fox and the Horse

作者:Charlie Mackery
Hardcover: 128 pages
Publisher: HarperOne; 1st edition (October 22, 2019)
Language: English
ISBN-10: 0062976583
ISBN-13: 978-0062976581
適正年齢:G(すべての年齢)
難易度:初級(「まえがき」部分以外は子どもの絵本程度。2/10)
発売日:2019年10月22日
ジャンル:絵本/グラフィック・ノベル

昨年の10月に発売されたのに、9ヶ月後の7月もアメリカの「グラフィック・ノベル/コミック」のジャンルで売上トップの地位を維持している本がある。それが、このThe Boy, the Mole, the Fox and the Horseだ。作者のCharlie Mackesyはイギリス生まれのイラストレーターで、南アフリカ、アフリカ南部、アメリカに住んだことがあり、現在はイギリスで暮らしている。

2018年の初期から彼は少年と動物の友達との交流のスケッチをインスタグラムに載せるようになり、それが人気になって一冊の本になった。

少年はたぶんMackesyの心の中に住み続けている彼自身なのだろう。そして、モグラ、キツネ、馬は、彼を最もよくわかってくれている親友たちなのだ。「キツネはあんまり喋らないよね」と少年が囁くと、「正直いうと、僕には話すような興味深いことがなにもないとよく感じているんだ」とキツネが告白する。そこで、悟りが深い感じの馬が「正直であるのは、いつだって興味深いことだよ」と言う。これは、きっと作者のMackesyが頭の中でいつも交わしている会話なのだろう。

「優しくあること」でつながっている少年と動物たちを見ていると、孤独だけれど、穏やかに孤独を愛している作者の姿が浮かび上がってくる。

そこに感銘したのだろう。多くの読者は感動して「泣いた」と感想を書いている。でも、私は期待しすぎていたせいか、そこまでの強い感情を抱かなかった。きっと、登場人物たちの会話に、これまでの児童書や絵本とは異なる新しいものがなかったからだと思う。正直であること、優しくあること、それはきっと作者のホンネだ。だが、これまで何度も繰り返し使われた表現であり、使い古された感じが捨てきれなかった。泣いた読者は、もしかしたら、忘れていた子ども時代を思い出し、ノスタルジックになったのかもしれない。

けれども、Mackesyの場合には、言葉をつけるよりも、絵だけのほうが深いストーリーを伝えることができたと思う。

Mackesyは美術学校では学んだことがなく、自学自習で技術を身に着けたという。インスタグラムとウェブサイトで見た彼の作品は、いずれも見る者の感情に強く訴えかけてくる。彼が虜になったニューオリンズのシリーズからはJazzミュージックが聴こえてくるようだ。

少年と動物たちの冒険も、人生の教えのような小さいストーリーにまとめずに、ただの日常が続いているかのようにゆるくまとめてほしかった気がする。

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