2020年ヒューゴー賞短編部門受賞作は、非常に政治的な短編らしい短編 Emergency Skin

作者:N.K. Jemisin
フォーマット:キンドルとオーディオブック
紙媒体でのページ数: 32 pages
Publisher: Amazon Original Stories
発売日:September 17
ASIN: B07VFMFPP4
適正年齢:PG15
難易度:中級+ 7/10(文章は簡単だけれど、中に込められた皮肉を理解するためには英語力と知識が必要)
ジャンル:SF/短編小説
テーマ:人種差別、ミソジニー、階級差別、風刺
文芸賞:2020年ヒューゴー賞短編部門受賞作


The Broken Earth trilogy(「破壊された地球」三部作)で3年連続でヒューゴー賞長編部門を受賞したN. K. Jemisinによる短編SFで、2020年ヒューゴー賞の短編部門受賞作。

地球の破滅を予期した少数のエリートが地球を離れて、テラフォームした別の惑星に移住した。多くの者を地球上に残したのは、救うには数が多すぎたし、彼らは知能や身体能力で劣っている。残してやるほうが本人たちにとっては優しいことなのだ。彼らに迷いはなかった。

それから何世紀も経ち、地球を離れたエリートたちは新しい環境に慣れるために進化した。だが大きな問題も抱えており、その解決のためにある者が使命を持って地球を訪れた。だが、地球は、彼が予想した絶望的な世界とはまったく異なるものだった……。

Jemisinのこの短編は、トランプ大統領の強い支持者層である白人優先主義者とミソジニスト、そしてアメリカの経済的な支配層である白人男性を皮肉に表現する風刺小説だ。それがとてもはっきりしているから、ふだんから彼女と同じことを感じている読者はかなり笑える。だが、「SFを読みたかったのに、政治的な説教をされたくない」と感じる読者もいる。特に、社会でマイノリティの立場を経験していない人はそうだろう。

その言い分もわかる。だが、風刺的な短編SFはずっと昔から愛されてきた。そういう短編小説ではメッセージをはっきりさせる必要があるし、オチも効いているほうがいい。現代アメリカを非常によく皮肉っているという意味で、Emergency Skinは2020にふさわしい受賞作だと思った。

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