2020年ヒューゴー賞長編部門受賞作 A Memory Called Empire 

作者:Arkady Martine
Hardcover: 464 pages
Publisher: Tor Books
ISBN-10: 1250186439
ISBN-13: 978-1250186430
発売日:March 26, 2019
適正年齢:PG12+(性の話題はあるが露骨な描写はない)
難易度:上級 8/10
ジャンル:SF
テーマ:スペースオペラ、銀河の帝国、政治、文化
文芸賞:2020年ヒューゴー賞長編部門受賞作、ネビュラ賞など候補作

 

Teixcalaanliは未来の銀河系宇宙で最もパワフルな帝国である。その強い影響を受けながらも独立国であり続けるLsel Stationの新任大使としてTeixcalaaanli帝国の首都「The City」に到着したMahitは、まだ20代の若い女性だった。Mahitにとっては詩ですべてを表現する古い文化があるTeixcalaaanliで大使になるのは子どもの頃からの夢だった。だが、前任者のYskanderが任期中に急死したための採用であり、不安材料が多かった。Lselの文化ではこのような場合に前任者の記憶を”imago”で外科的に植え付け、2人の記憶と人格が融合したような形になる。記憶が蓄積されるために大使としてそのまま仕事を続けることができるはずなのだが、Yskanderが長年帰省しなかったために、残っている記憶は10年ほど古いままだった。Yskanderの死は謎に包まれているが、突然imagoが作動しなくなる。Mahitは前任者からの指導がないまま、祖国の運命を背負って未知の世界に飛び込むことになる。

The Cityに到着してすぐに新米大使の援助をするリエゾンのThree Seagrass、その友人のTwelve Azalea、老いた皇帝のSix Direction、皇帝のアドバイザーNineteen Adzeなど多くの人物に会うが、その中にYskanderを殺した者がいるかもしれない。彼が殺された理由も不明だ。誰を信じてよいのかわからないままに、Mahitは皇帝の後継者争い、侵略の策略、紛争といった複雑な政治に巻き込まれ、命を狙われる……。

読み始めてすぐに、アシモフの『ファウンデーション』シリーズ、ル・グィンの『闇の左手』、アン・レッキーの『叛逆航路』(Ancillary Justice)などを頭に浮かべるような作品だ。それらを連想させるけれども、十分ユニークな世界構築ができている。これはMartineのデビュー作ということだが、きっと長年、頭の中でこの帝国で暮らしていたのだろう。そう思わせる作品だ。この作品はシリーズの1巻ということなので、次作が楽しみだ。

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