両親の離婚後の子どもの視点で、21世紀のアメリカらしい家族の作り方を描く児童書  The List of Things That Will Not Change

作者:Rebecca Stead
Hardcover : 224 pages
ISBN-13 : 978-1101938096
Publisher : Wendy Lamb Books
発売日:April 7, 2020
適正年齢:小学校高学年から中学生
難易度:5/10
ジャンル:児童書/現代小説
キーワード:両親の離婚、同性結婚、家族問題、子どもの心理

両親が離婚したときBeaの馴染みある世界は変わってしまった。けれども、お父さんとお母さんは大切なことを約束してくれた。それは、Beaへの愛は今後も決して変わらないし、お父さんとお母さんもお互いに愛し続けるということだった。離婚の理由は、お父さんが自分がゲイだと自覚したことだった。

レストランを営むお父さんは、離婚した後である男性Jesseと出会い、2人は結婚することに決めた。お父さんのように離婚したJesseに自分と同い年の娘Soniaがいることを知ったBeaは、念願の妹ができたことで歓喜した。でも、Soniaは自分ほどそれを喜んでいないようだ。

それでも結婚式の準備でBeaはワクワクしている。あるときJesseと疎遠になっている兄がいることを知り、このきっかけに仲直りさせてあげようとして内緒で結婚式に招待した。しかし、大人には大人の事情があることをBeaは知らなかった……。

作者のRebecca Steadは、ニュアンスがある児童書を書くことで知られる。今年4月に発売されたこの本でも、離婚や同性結婚、両親が離婚した子どもの心理などを現実的に描いている。良い大人に囲まれたBeaは、読者にはとてもラッキーな子どもに見えるだろう。だが、Beaがときおりトラブルを起こすことの背景には、両親が離婚した子どものストレスが影響していることが想像できる。

それでもこの小説は明るさをまったく失わない。特に、離婚したBeaの両親が互いを思いやっているところだ。現実の世界でこれができる離婚カップルはそういないだろう。たとえ離婚の理由がお互いを嫌いになったわけではなくても。

大人の読者としてひとつだけ気になったのは、Beaが母親の気持ちに思いを馳せる箇所がほとんどないことだ。Beaが毎日考えているのは、父と父の婚約者を中心にした新しい家族、そして彼らと自分の関係ばかりだ。

アメリカでさえ、離婚後に子どもの世話や躾をするのは母親が中心であることが多い。それらは子どもから感謝されるどころか、鬱陶しがられる。そして、たまに会うだけの父親は楽しい行事だけを入れるので、ふだん何もしていない父親のほうが子どもから愛されたりする。この小説ではBeaの母は元夫に対してとても理解がある。でも、母親もひとりの人間ではないか。はしゃいでいる「新しい家族」に含まれていない彼女は寂しく感じることもあるだろう。交友関係でそういう現実を見てきたので、そのあたりが描かれてないのが残念だった。でも、それはひとりの母親としての私の個人的な感想でしかない。

この小説は小学校高学年から中学生が対象の児童小説なので、前向きな「新しい家族」を子ども読者に信じさせてくれるところがいい。その点でお薦めの作品である。

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