読者を迷わせ続けるホラー的心理スリラー話題作 The Last House on Needless Street

作者:Catriona Ward
Publisher ‏ : ‎ Viper; Main edition
刊行日:January 1, 2021
ISBN-10 ‏ : ‎ 1788166167
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1788166164
対象年齢:一般(PG 15)
読みやすさ:8(文章はシンプルなのだが、状況がつかみにくいように書かれている)
ジャンル:心理スリラー、ホラー
キーワード:誘拐、殺人、信頼できない語り手、ゴシック

発売時から話題になっていて「読まねば」と思いつつ、私の苦手の「ホラー」のジャンルだったために年末まで「デジタル積ん読(Eブックとオーディオブックでの積ん読をこう呼ぶことに勝手に決めた)」していた本。「これ読ま」で審査員の春巻まやさんのイチオシでショートリストに残ったので覚悟して手にとった。

読者が状況をよく理解できないまま手探り状態で読み続けることに価値がある本なので詳しい説明はできないが、読みやすくなるように少しだけ説明したい。この本はTed, Olivia, Dee, Laurenという4つの異なる視点で展開する。Tedは背後に森があるNeedless Streetの家で一人暮らししている変わり者の青年で、OliviaはTedが飼っている猫である。Deeは、Tedが11年前に6歳だった妹を誘拐した犯人だと信じ、それを突き止めるために隣家に越してきた若い女性だ。Tedの家にはときおり彼の「娘」であるLaurenがいるのだが、OliviaもLaurenもTedから「お前たちの安全を守るため」と外に出ることを禁じられている。Oliviaは神の存在を信じ、聖書をよく引用する「しゃべる猫」だが、彼女の言葉を理解できるのはLaurenだけだ。そして、語り手には含まれないが、大きな存在を持つのがTedの母親の亡霊だ。ほかにも、Tedの家には正体がよくわからない不気味な者がいる。

読み続けていくと、彼らの存在の理由がわかるようになり、話がひとつにまとまってくる。途中で投げ出したくなる人もいると思うが、そのうちにちゃんとストーリーが見えてくるのでしばし辛抱していただきたい。

「怖い」というよりも「気味が悪い」の雰囲気が強いホラーであり、あえてひとつのカテゴリを選ぶのであれば「心理スリラー」ではないかと思うほど心理的な要素が重要な本である。

どの視点で読むのかでハッピーエンドかどうかが決まるのだろうが、読後感が良いとは決していえない本。私にとって怖くなかったのは良かったが、納得できないことが多いモヤモヤが残る本だった。

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