作者:Jane Pek
Publisher : Knopf Doubleday Publishing Group
刊行日:February 22, 2022
Paperback : 368 pages
ISBN-10 : 0593313798
ISBN-13 : 978-0593313794
対象年齢:一般(PG12、性的な話題はあるがシーンはゼロ)
読みやすさ:7
ジャンル:文芸ミステリ、現代小説
キーワード、テーマ:アジア系移民の家族ドラマ、デートアプリ、スタートアップカルチャー、現代アメリカ文化の風刺、LGBTQロマンス
中国系アメリカ人のClaudiaは、ハーバード大学を卒業した兄や美貌の姉とは異なり、アジア系移民の母親が自慢にできるような娘ではない。高収入のキャリアには興味がないし、レズビアンなので母からの「中国人のよい男の子と結婚する」プレッシャーに応えることもできない。家族から理解してもらえないことがわかっているので、兄の紹介で得た仕事を内緒でやめて、オンラインデートの相手を調査する極秘の会社で働いている。
その会社のクライアントの女性が姿を消し、後に「自殺」していたことが判明したとき、Claudiaは会社の創業者らの命令に背いて単独で調査を継続した。子どもの頃から探偵小説とジェーン・オースティンの小説のファンだったClaudiaはクライアントの死が他殺であることを疑うが、彼女の調査を止めようとする者がいることを知る……。
先週夫と一緒にナパ・ヴァレーに出張したのだが、その前に夫がある本を持ってきて「これ面白そうな本だろう? 知ってる? 旅行中に読もうと思って買ったんだ」と見せてくれた。ちょうどその時に私が聴いていたオーディオブックだったので、笑ってしまった。長年一緒に暮らしていると同じような本を同じ時期に選ぶようになるのかもしれない。
オーディオブックから紙媒体に切り替えたいと思っていたところなのでちょうど良い。ナパで横取りして先に読了させてもらった。
夫がこの本に興味をいだいたのは、デートアプリ中心のアメリカの現状とスタートアップ会社の企業カルチャーなどらしい。その部分の風刺が効いていて面白かったが、楽しめたのは中国系アメリカ人の主人公の強烈な家族関係だ。夫が声を出して笑う箇所が私と一緒でそこにも笑ったが、ここに出てくるような人物を実際に知っているからかもしれない。
ミステリ的には物足りない部分があると思うが、「アメリカの今」をユニークに描いている点でなかなかのスグレモノだと思った。娯楽作品として軽く読むことをオススメ。