生誕の謎と魔術、ダークなのに心優しいファンタジー。 The Lock-Eater

作者:Zack Loran Clark
Publisher ‏ : ‎ Dial Books
刊行日:January 18, 2022
Hardcover ‏ : ‎ 368 pages
ISBN-10 ‏ : ‎ 1984816888
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1984816887
対象年齢:PG8(小学校高学年から中学生, Middle Grade)
読みやすさ:6
ジャンル:児童書/ファンタジー
テーマ、キーワード:魔法、善悪の戦い、生誕の秘密、孤児院の仲間

Melanieは赤ん坊の時にMrs. Harbargainが管理する孤児院の前に捨てられ、そこで育った。大親友のJaneや他の孤児の少女たちと異なるのは、親が誰か不明なことと、どんな扉でも開けられる魔力を持っていることだ。ある夜、Mrs. Harbargain以外の全員が嫌っている共謀な猫のAbraxasがあまりにも大声で騒ぐため、Melanieは鍵がかけられている窓を開けて猫を外にだしてやろうとする。その時、重要な人物の死を知らせる鐘が鳴り響き、孤児院のすべての窓と扉が外に向かって砕け散る。そしてAbraxasは姿を消した。

その夜に暗殺されたのは、帝国政府の魔法部門を司るHigh EnchanterのZerend the RedだったことをMelanieは後で知る。孤児院の破損は大きく、Mrs. Harbargainと孤児たちは修理の資金を作るためパイを焼き、資金集めのイベントをし、Melanieは掃除に明け暮れた。

ある嵐の夜、Travelerという名のautomaton(からくり人形、ロボット)が孤児院を訪問した。自分が仕えている魔女が弟子を求めていて、Melanieを弟子入りさせてくれたら修理のための寄付をするという申し出だった。Mrs. HarbargainはMelanieの安否を心配して断ろうとしたが、説得されてしまう。ずっと冒険を夢見ていたMelanieもこの機会を歓迎したのだが、いったん旅に出たところ、Travelerがただのautomatonではなく、しかも嘘をついて彼女を連れ出したことがわかる…。

魔法使いの陰謀や、裏切り、そして善悪の戦いがある魔法ファンタジーであり、次々と何かが起こるページ・ターナーである。記憶を失っていて自分が誰か思い出せない平和主義者(戦争反対主義者)のTravelerの正体や、Melanieの生誕の謎などのミステリも興味深い。「孤児院」ものには、心身ともに子供を虐待する管理者が多いのだが、この本ではMrs. Harbargainは自分が世話をしている子供たちを愛している。悪い魔法使いはもちろん出てくるのだけれど、心優しいキャラクターが多くて、安心して読むことができるのがいい。

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