True Crimeにとりつかれた少女が入学した謎の寄宿制高校での殺人事件。謎解き+風変わりな高校生の人間模様が病みつきになるYAミステリシリーズ -「Truly Devious」

作者:Maureen Johnson
Publisher ‏ : ‎ Katherine Tegen Books
刊行日:December 4, 2018(シリーズ#1)
Paperback ‏ : ‎ 448 pages
ISBN-10 ‏ : ‎ 0062338064
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0062338068
対象年齢:PG15(高校生以上)
読みやすさ:6〜7(文章そのものはシンプル。だが、ストラクチャーで混乱する可能性あり)
ジャンル:YAミステリ/サスペンス
テーマ、キーワード:特別な学生を集めた寄宿制高校、過去の殺人の謎、学校内での殺人、True Crime(犯罪ドキュメンタリー)

米国東海岸北部にあるバーモント州にある私立寄宿制学校「Ellingham Academy」は、優秀な生徒を集めた2年制の特別な高校である。この学校の卒業生は政治からアートまであらゆる業界で活躍しているが、入学の基準は誰にも明らかにされていない。入学が認められた学生はすべて無料で教育を受けることができる。だが、この学校には暗い歴史もあった。創業者のAlbert Ellighamの妻と娘が誘拐され、妻は死体でみつかったが、娘は行方不明のままだった。唯一残された事件の鍵は「Truely Devious(より)」という記名が入った謎のメモだったが、犯人はいまだにわかっていない。

何十年も昔に起こった事件とその謎に取り憑かれた女子高校生のStevie Bellは、その情熱を伝えたことが評価されたのかEllington Academyに合格した。一緒に学校を始めた同級生たちは発明家、ベストセラーのファンタジー小説家、ジャーナリスト…と天才的な学生ばかりだが、どこか風変わりである。それらの同級生とつながりながら、Stevieは過去の犯罪を解き明かそうとするが、そのうちに本当の殺人事件が起きる…。

最近アメリカでは「true crime(実際の犯罪のドキュメンタリー)」のポッドキャストやノンフィクション本が流行っており、それを題材にした小説も数多く出るようになった。
また、10年くらい前にはファンタジーが人気だったYAジャンルではミステリのブームが起こっている。Maureen Johnsonの「Truly Devious」のシリーズもそれら影響を受けたものだ。主人公の少女Stevieはtrue crimeのファンであり、事件を解くこと以外には何にも興味を抱けない変わり者である。だが、このEllington Academyそのものが風変わりであり、集まっている学生たちもどこか普通ではない。そこがこのシリーズの魅力になっている。

2022年末までに5巻が出ているこのシリーズでは、ひとつの巻の終わりがcliff-hanger(クリフハンガー、続きが気になってしまう終わり方)である。一応3巻で最初の謎は解決する。4巻は読み切りできるが、5巻ではStevieの将来と人間関係がクリフハンガーで終わる。なので、今から読む人は、3巻か4巻で少し休むとやきもきせずに済むと思う。

謎解きと青春小説的な人間関係が混じったシリーズなので、ストレートな謎解きだけを求める人はもどかしいかもしれない。しかし、人間ドラマとミステリ、青春小説が盛り込まれた少々ダークな作品を求める人は病みつきになるかもしれない

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