ひねくれ女子大生とワケあり老女の『テルマ&ルイーズ』的でそうではないかも?の笑いと涙のロードトリップ The Mostly True Story of Tanner & Louise

作者:Colleen Oakley
Publisher ‏ : ‎ Berkley
刊行日:March 28, 2023
Hardcover ‏ : ‎ 352 pages
ISBN-10 ‏ : ‎ 0593200802
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0593200803
対象年齢:一般(PG15)
読みやすさレベル:6
ジャンル:現代小説
テーマ、キーワード:ロードトリップ、過去の秘密、心温まるストーリー

21歳のTannerは大学を休学中で、ビデオゲーム以外には何もやる気がない日常を送っている。家族に当たり散らすために家を出るように言い渡され、その解決策としてケアが必要な老女の家に住み込みをすることになった。

Louiseは若い頃から独立心が強く、誰の世話にもならないことを誇りにしていたのに、絨毯に足をひかからせて転倒し骨折してしまった。それでも自分ひとりで暮らせるのに、おせっかいすぎる長女が住み込みのナースを雇うというので、若い女性であるTannerを同居人として受け入れることにした。

Louiseは、仕事もせずシャワーも浴びずビデオゲームばかりしているTannerのマナーのなさを嘆き、Tannerは80代の年寄りと暮らさなければならないことに苛立ちを覚える。

しかし、しばらく一緒に暮らしているうちにTannerはLouiseがただの老人ではないと感じ始める。そんな時に米国の歴史上最大の宝石泥棒についてのニュースを見て驚く。コンピューターが推測で作った犯人の現在の顔がLouiseそっくりなのだ。それにどう対応するべきか考える前にLouiseが深夜に大金のキャッシュを入れたバッグと一緒に部屋に現れ、即座に家を出ることを命じる。Tannerは犯罪に巻き込まれたくないと思うが、大学に戻る学費に匹敵する金額を支払ってもらうという条件でLouiseが鍵つきの物置小屋に隠していたクラシックカーを運転することを引き受けた…。

女性2人が犯罪に手を染めていくロードトリップ…という印象から映画の『テルマ&ルイーズ』を連想する(それが作者の意図でもある)し、FBIが彼らを追いかけている部分からも「これはいったいどんな終わり方をするのか」と心配になってくる。

だが、TannerにしてもLouiseにしても、読者が最初に受けた印象と実際の彼女たちが異なることがだんだんわかってくる。そして、最後には心温まるストーリーに落ち着くというなかなかのスグレモノなのだ。

大学の学費の設定が安すぎるとか、まあそのあたりの詳細が気になるが、カラフルな登場人物たちのロードトリップはテンポが良くて、読んでいて楽しい。また、読後感もいいので、夏の読書にオススメ。

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