
作者:Marisha Pessl (Special Topics in Calamity Physics)
Publisher : Delacorte Press
刊行日:November 26, 2024
Hardcover : 416 pages
ISBN-10 : 0593706552
ISBN-13 : 978-0593706558
対象年齢:YA(PG15)
読みやすさレベル:6 ~ 7(文章はシンプルだがストーリーは入り組んでいるので注意を払う必要あり)
ジャンル:YAファンタジー、スリラー
キーワード、テーマ:ボードゲーム(アナログゲーム)、ダークアカデミア、ミステリ、スリラー
アメリカの高校2年生のArcadia (ニックネームDia)は、金銭感覚ゼロで無責任な母親のアンティークショップを実質的に運営している。ボーイフレンドはいないし、親友はアンティークショップで働いている75歳以上の高齢女性2人。そして、40年以上カルト的な支持者を維持しているボードゲームの「Darkly」の女性クリエーター、louisiana Vedaの大ファンである。
Louisiana Vedaの人生と死は謎に包まれており、彼女の死から39年経った現在でもVedaと彼女が作り出した暗いボードゲームに惹かれる若者は後を絶たない。
Darklyは、ホラー的な内容のダークなボードゲームとして人気があったのだが、Vedaの死後は新しい製品は発表されていなかった。ゆえに、昔作られたオリジナルのゲームは、コレクターアイテムとして高価に取引されていた。
Vedaの財産を管理するLouisiana Veda Foundationが夏休みに高校生7人のインターンを募集することが発表され、Diaは応募を考慮する。けれども、Diaがサイトをチェックした時にはすでに世界中から4万人以上が応募しており、競争相手は飛び抜けた才能を持つ者ばかりだ。自分には絶対にチャンスはないと思っていたDiaは、自分がインターンのひとりに選ばれて驚く。
Diaがインターンとして働くオフィスはロンドンのはずだった。ところが、イギリスに到着したDiaたちインターンが連れて行かれたのはロンドンからは離れた秘密の場所であり、インターンたちは「秘密保持契約書」に署名を強いられる。仕事の内容は募集内容にあったリサーチではなく、彼らが選ばれたのには別の理由があるようだ。インターンたちはそれぞれに危機感を抱きながらもVedaとDarklyの謎に迫るチャンスを捨てることができず、互いへの疑心暗鬼を抱きつつ迷路のように入り組んだ大きな罠にはまりこんでいく…。
作者Marisha Pesslのデビュー作Special Topics in Calamity Physicsは2006年に刊行されて大ベストセラーになった。「ダークアカデミア」というサブジャンルがまだなかった頃のダークアカデミアもので、しかもダークなユーモアが活きていた。寡作な作家で、その後2作くらいしか書いておらず、本作品は2018年刊行のNeverworld Wakeから5年ぶりだ。Special Topici..の時のフレッシュさはないけれども、よく売れているYAスリラーよりは入り組んでいて読み応えがある。
Pesslはワールドビルディング(世界観)が優れているのが特長で、この作品でも最も魅力的なのはDarklyの世界観だ。読んでいてふと連想したのはReady Player Oneだった。
登場人物に関しては、Diaのキャラは立っているが、他のインターンたちの印象は少々弱い感じでそれだけが残念だった。入り組んだYAスリラー(わずかにホラーの雰囲気もあり)を求めている人におすすめ。

