フェイスブックの元グローバル公共政策担当ディレクターが明かすFacebookの唖然とする実像 Careless People

 

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作者: Sarah Wynn-Williams
Publisher ‏ : ‎ Flatiron Books
Publication date ‏ : ‎ March 11, 2025
Print length ‏ : ‎ 400 pages
ISBN-10 ‏ : ‎ 1250391237
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1250391230
対象年齢:一般(PG)
読みやすさレベル:7
ジャンル:ノンフィクション
キーワード、テーマ:Facebook, フェイスブック、ハイテク業界の倫理観

 

 

作者のSarah Wynn-Williamsは2011年から2017年まで7年間Facebookで働き、最終的にグローバル公共政策担当ディレクター(部門責任者)という重要なポジションについた女性である。彼女はFacebookがこれからグローバルな展開を試みようとしていた時期に、他国の政府・規制当局・国際機関などと関わる際の方針作りと戦略実行の中心的な役割を担った。

ニュージーランドで生まれ育ったWynn-Williamsは、人権や環境問題に強い関心を抱いており、国連に勤務していたことがあった。Facebookの幹部に自分を売り込み始めた頃にはアメリカのワシントンDCにあるニュージーランド大使館で外交官として働いており、Facebookが「(良い意味で)世界を変える」と信じていた。

ようやくFacebookに雇用された時にはWynn-Williamsは心底このプラットフォームを信じていたし、CEOのマーク・ザッカーバーグやCOOのシェリル・サンドバーグの意図も信じていた。けれども、Facebookが急速に成長していくにつれ幹部や社内の雰囲気は変わっていった。

2022年刊行のThe Chaos Machineというノンフィクションに書かれていたように、ミャンマーとスリランカで起こった暴動とジェノサイド(特定のグループ全体、もしくはその一部を破壊する目的で行われる集団殺害、およびそれに準ずる行為)で大きな役割を果たしたのがFacebookだったのだが、危機感を抱いて止めようとしたWynn-Williamsは孤立しただけだった。ザッカーバーグやサンドバーグはFacebookによって広まった偽ニュースで多くの者がレイプされたり、残虐に殺されたりしても何の後悔もしなかったばかりか、将来それを阻止する対策を取ろうともしなかったのである。

読んでいて呆れたのは、世界で最も裕福な層に近づき、非常にパワフルな立場になろうとしていたFacebookの幹部たちが、あまりにも人権や環境問題に関して無知で無関心で、しかも幼稚に振る舞っていることだ。

作者は冒頭のエピグラフにThe Great Gatsby(『偉大なるギャツビー』)からの次のの文を引用している。“They were careless people, Tom and Daisy- they smashed up things and creatures and then retreated back into their money or their vast carelessness or whatever it was that kept them together, and let other people clean up the mess they had made.(彼らは不注意な人間だった、トムとデイジーは──物事や人々をめちゃくちゃにしておきながら、自分たちの財産や、果てしない無頓着さや、とにかく二人を結びつけている何かの中へと引っ込んでしまい、自分たちの後始末は他の人間に任せていたのだ。)”

本書Careless Peopleに描かれているザッカーバーグやサンドバーグ、そして彼らに近い幹部たちはまさにトムとデイジーのようにCareless Peopleである。彼らがめちゃくちゃにしているのは、もっと大規模なグローバルレベルのものだが。

こうしてFacebookは、倫理などを無視して利益を優先しない限りは生き残りにくい環境になっていた。

それにしても、本書に出てくるシェリル・サンドバーグには呆れ果てた。私は彼女の書いたLean Inが刊行された時に高く評価し、多くの人に勧めた。けれども実際の彼女の言動がまったく異なるので、個人的に裏切られた気分だった。

実際のサンドバーグはフェミニストどころかミソジニストではないかと思うほどであり、対人関係でバウンダリーがまったくなく、いとも容易にパワハラ、セクハラを行う。サンドバーグのハーバード大学時代のボーイフレンドJoel Kaplanが雇われてWynn-Williamsの直接の上司としてグローバル公共政策のvice presidentになってからWynn-Williamsはセクハラに悩まされることになる。そして、ついにこれ以上は危険だと感じて人事に相談し、報告したことが逆効果になってFacebookから解雇されることになる。

ここで描かれているFacebookの実態があまりにもひどいので、本書について「解雇された恨みを持つ元社員の書くことは信用できない。作り話や誇張ではないか」と思う人もいるかもしれない。

しかし、Facebookで同期だった人がLinkedInに「私は本全体の事実確認はできない(誰にもできない)が、私自身が参加した会議やイベント、あるいは当時他の同僚から聞いた出来事については、正確に描かれていると言える。そして何より重要なのは、彼女が描いた『あの場の空気』が完璧に再現されていることだ。あの職場の雰囲気は、まるで子どもの集まりのようだった」と書いている。他の元フェイスブック社員もこの投稿に同意のコメントを遺しており、私はこの本の信憑性は高いと思っている。

では、私のような非力な読者はどうすれば良いのか?

Facebookは以前から嫌いだが、このプラットフォームでしか繋がれない人もいるのできっぱりと使うのをやめるわけにもいかない。

でも私たちにもできることはある。まずは、アルゴリズムで出てくる情報やニュースを簡単に信じて拡散しないことである。そして、使用をミニマムにすること。Wynn-Williamsも書いているように、Facebook(現在はMeta)の幹部たちはその危険性を熟知しているからこそ自分の子供たちのネット利用やソーシャルメディア利用を制限している。

Careless Peopleに利用されて犠牲者にならないためにも、自分を守る努力をしなければならないと思った。

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