
作者:Craig Mod
Publisher : Random House
Publication date : May 6, 2025
Print length : 320 pages
ISBN-10 : 0593732545
ISBN-13 : 978-0593732540
対象年齢:一般(PG)
読みやすさレベル:6
ジャンル:エッセイ、回想録、旅行記
テーマ、キーワード:独り歩き、トレイルウォーキング、熊野古道、紀伊半島、喫茶店、日米の文化、「余裕」
作者のCraig Modは、ニューヨーク・タイムズ紙の「52 Places to Go in 2023」という特集記事で日本の盛岡を推薦した人物である。私も「なぜゆえ盛岡なのか?」と疑問に思ったひとりなのだが、それについて彼は「Why Morioka? Japan Answers」という記事で理由を説明している。
アメリカのコネチカット州出身のModは、19歳のときに日本の大学で学ぶことを選び、それ以来25年以上日本で暮らしている。その間ずっと単独での長距離ウォーキングを続けているModが新型コロナのパンデミックの最中である2021年に歩いたのが熊野古道だった。
この本は、その時の旅行記というよりもは、歩きながら彼の頭をよぎったことを書き綴ったエッセイ集のようなものである。彼が頭の中で語りかけている相手は、幼い頃の親友Bryanである。そのなかでModは産業が廃れて貧困と暴力が蔓延していた自分の故郷と過疎化と貧困が進んでいても平穏さを失っていない日本の田舎を比較する。彼が日本を自分のホームとして選んだ理由が、エッセイの数々から伝わってくる。
私はModとは逆に18歳まで日本の田舎で育ち、その後、京都、英国、東京、香港での生活を経てボストン近郊の町に住み着いて30年になる。異なる体験をしているけれども、「生まれた場所を運命として受け入れるのではなく、自分で自分の故郷を選ぶ」という点では共通しているところがある。その土地に対する愛情は、自分で選んだ場所だからこそより強いのかもしれない。
日本を観光地として紹介する本は探せばいくつでも見つかるだろうが、日本を積極的に選んで住み着いた人の視点はなかなか読むことができない。この本を読んで、自分の気づかなかった日本を見出すために歩きたくなる人もいるだろう。
私はこの本を長距離ハイキングが好きな娘婿の弟にプレゼントした。日本を旅行したことがある彼は、きっと次の機会には熊野古道を歩いてみたいと思うだろう。その後でぜひ感想を聞きたいと思っている。

