Category: 各種文学賞の候補作/受賞作

速報Hugo賞(長編小説部門)はThe Graveyard Bookに決定

さきほどNeil GaimanのTwitterでThe Grave Yard BookがHugo賞に決定したことを知りました。彼のTwitterによると、"Fuck! it won!"…実に簡潔な報告です。Hugo賞のリストは下記のとおり。詳しくはHugo賞のブログをどうぞ。 長編小説: The Graveyard Book, Neil Gaiman http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0060530928 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0060530928…

2009年World Fantasy Awards候補決定!

2009年World Fantasy Awards(世界幻想文学大賞)の候補作品が発表されました。 驚きのTender Morselsが入っているではありませんか!ヤングアダルト向け(一応児童書の部類)としてはすごく奇妙な“問題作”ですが、大人向けということであれば納得できるかも…今日Pandemonium注文したので、これも近い将来レビューしたいものです(その前に読みたいものがたまっているもので…)。 しばし翻訳お休みしていますが、ファンタジーなら翻訳してみたいなーとも思います。 長編小説 The House of the Stag, Kage Baker (Tor)…

オンラインカジノによるブッカー賞の予想

先日ブッカー賞の個人的な予想を書きましたが、英国の有名なオンラインカジノWilliam Hillの賭けでは、Hilary Mantel のWolf Hallがダントツ1位のようです。 でも、ご覧のとおりアメリカではまだ販売されてないんですよ!(日本では英国版が入手可能です) 英国のBookseller.comによると賭けている人には出版業界のインサイダーが多いみたいです。 ちなみに現時点での配当率は下記のとおり。 2/1 Hilary Mantel Wolf Hall; http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0805080686 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0007230184…

2009年ブッカー賞予想ー私はThe Little Stranger だと思う

先日2009年度ブッカー賞の候補作をご紹介しましたが、その中で受賞作はたぶんこれじゃないかな、と予想するのが次の作品です。候補の中では圧倒的に英国で売れている作品だそうです。でも英国ですからね。それにブッカー賞ですからね。米国在住の私にはあんまり自信はありません。個人的な見解です。 追記:書評をupしました。 http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=1594488800 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=1594488800 とっても私好みらしい作品なので米国で出版される前から注目していて「読むべきリスト」に挙げていたのですが、どこかでそのリスト自体を忘れてしまったようでブッカー賞候補のリストを見て、「あれ?私ったらなぜまだ読んでいないのだろう」と自分の記憶力を真剣に疑いました。読んだくせにもう一度買うよりもはましですが(最近別の本でまたやりました)。 追記:ブッカー賞の結果

2009年度ブッカー賞候補作決定

英国とアイルランド国籍の作家による小説に与えられる最も権威ある文芸賞Man Booker 賞の 2009年度の longlist(候補作) が本日発表されました。 2009年度の候補作品 作家名                      …

子供を読書好きにする方法

米国の有名な児童書の文芸賞に Caldecott Medalというのがあります。19世紀英国のイラストレーターRandolph Caldecottの栄誉を称えて命名されたもので、毎年 American Library Association のAssociation for Library Service to Children部門が最も優れた絵本に対して賞を与えます。ALSCの賞には他にも有名なNewbery Medalがあり、こちらは絵本ではなく児童書が対象です。 2009年のCaldecott…

イノセントに無知を決めこむ英米社会への重い問いかけ-Burnt Shadows

Kamila Shamsie2009年4月28日発売Picador384ページ文芸小説/戦争・歴史 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0312551878&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0312551878&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 Amazon Vine™ Programで得た本(それについてはこちらを)English Review (あらすじ)1945年、長崎に住む田中ひろこ(Hiroko Tanaka)は、東西の文化が調和を持って暮らすことを夢見る研究者でアーティストのドイツ人Konradと結婚の約束をするが、Konradは原爆でただの岩に残った影となり、Hirokoの背中にはそのときに羽織っていた着物の鶴が火傷として残る。日本で被爆者として扱われることに耐えられなくなったHirokoはインドのDelhiに渡り、Konradの異母姉Elizabeth(Ilse) Burtonを訪ねる。ElizabethはHirokoに深い親しみを覚えてずっと手元におきたいと思うが、弁護士の夫Jamesの元で働くムスリムの現地人Sajjad Ashrafに競争心と嫉妬を覚える。一連の出来事の結果、SajjadはBurton一家と決別し、Hirokoとともに1947年に新たに誕生したパキスタンに住み着くことになる。 長崎の原爆投下を起点に、パキスタン誕生、旧ソビエト連邦のアフガニスタン侵攻、2001年同時テロ、といった人類の争いと死の歴史を、Burton家が代表する西洋文化に対して、Tanaka/ Ashraf家が代表する東洋文化の立場から小説の形で鋭く問いかける。 あのサルマン・ラシュディが”Burnt…

2009年ピューリッツアー賞受賞作-Olive Kitteridge

Elizabeth Strout 2008年3月発売 文芸小説/短編集 米国北東部メイン州の沿岸の小さな町Crosbyを舞台に、数学教師Olive Kitteridgeを軸に繋がる13の短編集。 大柄のOliveは、町の住民たちから気性が激しく、寛容がなく、頑固で批判的だと思われている。町の小さな薬局を経営する薬剤師の夫Henryは温厚な人物として誰からも親しまれているが、夫の善人ぶりはかえってOliveを苛立たせるだけだ。最初の短編「Pharmacy」では、中年にさしかかったOliveとHenryが別の異性に惹かれる微妙な心理を描いており、読者はHenryに同情心を覚えずにはいられないだろう。だが、OliveとHenry以外のCrosbyの住人を主人公とする短編で脇役として登場するOliveからは異なる人物像が浮かんでくる。現実世界では人とはそういう複雑なものである。読み進むうちに彼女の毅然とした批判精神に対して反感と同時に尊敬も抱くようになり、老齢に達した孤独なOliveのほのかな恋を描いた最後の短編「River」では、(たぶんOliveのひとり息子が感じているように)彼女の欠陥をすべて受け入れたうえで幸運を祈らずにはいられないだろう。 鬱、自殺、親子関係、不倫関係、老化といったテーマを扱った短編はそれぞれが独立したストーリーで、Stroutの卓越した語りに吹き出したり涙ぐんだりしながら、いつのまにか、これまで会った人々を思い出し、自らの人生を振り返っていた。熟練した文芸作品でありながら気取ったところがなく、深い人間理解に基づく優れた短編集である。 ●ここが魅力! 有名な賞の受賞作は疑ってかかる癖があるのですが、久々に心底「これは受賞に値する!」と同感した作品です。3日間連続で睡眠時間5時間以下の寝不足だったにも関わらず深夜まで読みふけってしまいました。 最初にこの本でOliveに出会ったとき、あまりにも好感が抱けなくて「え~、これが主人公!」とがっかりしましたが、読み進めるうちにしだいに彼女に興味を抱くようになりました。Oliveだけでなく、わずかな希望や愛を求める普通の人々の悲喜劇に同情し、最後にはOliveに友達として電話をかけてあげたくなりました。 こういうことを感じさせてくれる文芸作品がPulitzer Prize(ピューリッツアー賞)を受賞したことを嬉しく思います。 ●読みやすさ ★★☆☆☆ 文章そのものは簡潔で難解ではありません。…