いったん読み始めたらやめられない世紀末後の殺しのゲーム-The Hunger Games

Susanne Collins
2008年9月
SF/ファンタジー/スリラー/アクション/ヤングアダルト

世紀末後のアメリカ合衆国は、残酷な支配者層が住むthe Capitolと労働者層が住む12の地区で成り立っている。過去に反逆を試みた労働者層への見せしめとして、Capitolは毎年各地域から男女2人の子供(12歳から18歳)を選出させ、「The Hunger Games」というゲームを戦わせる。計24人の子供たちは、コントロールされた森に放たれ、そこで互いを殺しあう。最後に勝ち残った者は一生困らないだけの富を与えられるが、あとの23人の運命は死である。
炭鉱専門の第12地区に住む16歳のKatnissは、事故で父が亡くなって以来違法の狩りで母と妹を養ってきた。そして、12歳の妹が籤に当たったために代役を買って出る。もう一人第12地区から選出されたのは、父の死後飢えていたKatnissに体罰を覚悟でパンを与えてくれたパン屋の少年Peetaだった。

「The Hunger Games」は、TVで全国に放映されているTVショーでもある。ゲーム参加者の行動はすべてTVで放映されており、パフォーマンス次第でスポンサーがつき、必要なもの(食べ物や薬)を得ることができる。貧しい地区出身のKatnissがスポンサーを得るためには、視聴者が求めるイメージを作り上げなくてはならないKatnissはPeetaと親しいふりをするように指導される。
Peetaは、Capitolの残忍さに屈してゲームの駒になり、その結果人間性を失うことは拒否したいと打ち明けるが、それはKatnissの弱みにつけこむ戦略なのか?生き残るのが一人だけという状況になったら、Katnissは故郷に残してきた妹を思い出させる12歳の少女Rueを殺せるのか?

●ここが魅力!
残酷な新社会は1984年、Brave New World、The GiverといったSFのクラシックを連想させますが、今流行のSurvivorといったリアリティTVショーの痛烈な風刺はとても現代的です。
サバイバルの才能がある少女Katnissは、心優しいところはありますが、簡単に他人を信用せず、感傷的な判断をしないタフなヒロインです。PeetaやGaleに対する自分の感情を見極められずに戸惑うところがかえって真実味があり、作品に好感を抱かせるところです。
SFやファンタジーとして優れているだけでなく、心理スリラーや冒険小説の要素、そして(ホラーではないものの)スティーブン・キングを連想させる怖さもあります。いったんゲームが始まったら、最後まで手に汗を握って猛スピードで読み終えてしまうことでしょう。
ヤングアダルト向けとはいえ、あなどることなかれ。SFファンの大人が読んでも十分満足できます。

●読みやすさ ★★★☆☆
Katnissの一人称の語りなので、入り込みやすく、読みやすく感じるでしょう。

●アダルト度 ★★★☆☆
性的表現はキスまで。けれども、子供同士が殺しあう内容ですから、小学生向けではありません。読後に私は悪夢をみましたから、その点ご注意ください。

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