Nantucket島で読むBeach Read – The Castaways

Elin Hilderbrand
368 ページ
Little, Brown and Company
2009年7月7日
商業的文芸小説/現代小説

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Nantucket島のわが家の本棚について先日お話ししましたが、今日はそのなかでも毎年必ず現れるBeach Readsについてです。

Beach Readsの定義はAbout.comによると、「 A good beach book is engaging and a quick enough read that you can finish most of it on the beach before your sunscreen wears off. A beach book isn't necessarily literature, but a beach book will entertain.」だそうです。
つまり、ビーチで寝転んで軽く読み切るための、とっつきやすくてあまり脳みそパワーを使わずにすむ本。そして、読み終えたら心置きなく置き去りにできる本です。だからBeach Readsというと男性の場合はミステリー、女性の場合はロマンスが多かったりします。
でもそのBeach Readの中で明らかに「Beach Readにどうぞ!」とマーケティングしているのが先日ご紹介したような本の数々です。

今年本棚に残されていたBeach Readsの中からせっかくですからNantucket島に住む作家Elin Hilderbrandの最新作The Castawaysを選んでみました。


Nantucket島の住民には大きく分けて3通りあります。
ひとつは別荘だけの島民。私たち夫婦と異なり、非常に裕福な人々は維持費だけで年に1億円くらいかかるものすごい別荘を持ち、プライベートジェットでやってきます。
もうひとつは年中ここに住む島民。上記の人々の世話をするワーキングクラスが主で、別荘の持ち主に対して複雑な心理を抱いています。ほとんど白人ですが、最近は中南米やアジアからの移民のワーカーが増えてきました。
もうひとつは島に惹かれて住み着いた中流階級のよそ者です。
これが最も少ないカテゴリーで、この本The Castawaysは三番目のカテゴリーに属する4組の夫婦たちを描いています。

Castawayだからこそ結びついた4組のカップルは、それぞれに中年夫婦の不満や悩みを抱えていますが、そこに1組の夫婦がヨットの事故で死亡し、ずっと仲良しだったグループのバランスに亀裂が生じます。
それぞれ秘密の不倫関係を持っていた夫婦の死は他殺なのかただの事故なのか、というミステリー的要素はありますが、ストーリーの中心は「人間関係」そのものです。死亡した不倫相手を恋しがってアル中になる男性、友人だったはずなのに亡くなった者への執着心から憎み合うようになる妻2人、など泥沼化した人間関係に最後なんとかおさまりがつく、というのがBeach Readsらしさです。

おかしいのは、作者のElin Hilderbrandとの遭遇です。毎朝Ciscoビーチに向かう道ですっごく幸せそうな笑みを浮かべて走っている痩せっぽちの金髪女性をみかけるのです。「そんなに楽しいのかな〜」と感心していたらそれがElin Hilderbrandだったのでした。

わが家のレンタルエージェントが使っているお掃除サービスがこの本に名前だけ登場することもちょっと笑いました。だって、このお掃除サービス、お隣さんと私の間ではタオルやシーツが戻ってこないので悪名高いんですから(ときおり他所のシーツが混じっていたりします)。

●感想
Elin Hilderbrandのファンはニューヨーク市近郊あたりに住む裕福な(あるいは中流階級の)白人既婚女性です。 この本の登場人物たち(特に女性)に似た環境の彼女たちは感情移入しやすいのでしょう。
それ以外の人にとっては、そういう女性の思考回路やNantucket島の中・上流階級の人たちの世界を覗き見ことができ、好奇心を満たすのに最適だと思います(私たちとはまったく接点のない世界ですからね)。
またBeach Readsの中ではけっこう出来のよい作品だとも思います。
でも、登場人物がみんな自己中心的なのが読み進めるにつれだんだんしんどくなるかも….

●読みやすさ ★★★☆☆
さすがBeach Read。YA程度の難易度です。

●アダルト度 ★★☆☆☆
セックスシーンはありますが過激ではありません。

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 助産師としてキャリアをスタート。日本語学校のコーディネーター、外資系企業のプロダクトマネージャーなどを経て、 1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 500 reviewer.

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