大人をちょっとノスタルジックな気分にさせてくれる児童書 Turtle in Paradise

Jennifer L. Holm
ハードカバー: 208 pages
Publisher: Random House
発売日2010/5/11
児童書(小学校高学年から中学生)/歴史小説(大恐慌時代の米国)
2011年ニューベリー賞オナー受賞作

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米国が大恐慌にみまわれていた1935年、母親にTurtle(ウミガメ)という奇妙な名前をつけられた11才の少女は、叔母と暮らすためにひとりで母の故郷であるフロリダ州キーウエストを訪れた。Turtleにとって、キーウエストを訪問するのも、母の親族に会うのも、初めてのことだった。


若くして故郷を離れてTurtleを生んだ母親は、家政婦として生計を立てているシングルマザーにしてはまったく頼りない。美しいのは良いが、実現しない夢ばかり見ている。そんな母を精神的に支えているのは独立心が旺盛で現実的なTurtleのほうなのだが、母の新しい雇用者が子連れの住み込みを拒否したために、Turtleは会ったこともない親戚に預けられることになった。

母の故郷の町に到着してみると、そこは母が語っていたようなパラダイスとは似ても似つかない貧民街だった。 叔母はTurtleが来ることをまったく知らされていないし、従兄弟やその友だちグループは乱暴で意地悪ばかりする。おまけに、ちゃんとした服や靴をはいていない貧相な子どもたちは、奇妙なやり方でお金を稼ぐのである。Turtleという名前は奇妙だが、ここではみんながBeansとかSlow Pokeとか奇妙な名前を持っている。なにもかもが、これまでのTurtleの常識を覆すような世界だった。

最初はがっくりしていたTurtleだが、すぐにこの世界に慣れ、奇妙な人びとと強い絆を作ってゆく。そこに、母が新しい「夫」を連れて現れる。

●ここが魅力!

本文にもTurtleの言葉として書いてありますが、子どもがSweetだというのは大人の勝手な思い込みで、だいだいはrottenなのです。そういう現実的な視点から、Turtleのタフかつ心温まる冒険が始まります。

私が本書を楽しんだのは、大恐慌時代のキーウエストの現実です。
著者ノートによると、これは著者Holmの家族の話に基づいているようです。裸足でカメラに向かって笑顔を向ける少年の写真とあわせて読むと、当時の雰囲気が瞼に浮かぶことでしょう。

米国のフロリダ州の話だというのに、山陰の田舎で育った私に幼い頃のことをノスタルジックに思い出させてくれました。全然場面は違うのですが、ふとそんな感覚を与えてくれる本です。

タフな少女Turtleが、おとぎ話のようではない本物の幸せを得られそうなエンディングがほっとさせてくれます。

●読みやすさ やや読みやすい

11才の少女の一人称なので、英語としては簡単なほうです。
ただし、あまり教育を受けていない人の語り口や言い回しが多いので、学校の英語教育だけの方はかえって難しく感じるかもしれません。

●お薦めの年齢層

小学校高学年から中学生が対象ですが、日本人が読む場合には大人も十分楽しめる作品です。洋書ファンクラブJrのもえさん(10才)とディスカッションしましたが、私のほうがもえさんよりもこの作品が好きだったようです。

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