書店の生き残り術、ナンタケットスタイル

ピクチャ 1別荘を購入して20年以上になるので思い入れはたっぷりあるのですが、ナンタケット島というのは複雑な場所です。

自家用ジェット機で別荘に来るのは世界でもトップクラスの大富豪(マイクロソフトのビル・ゲイツやグーグルのエリック・シュミットなど)で、一年中島に住んでいるのは庭師、配管工、大工、といった豪邸を支えるワーキングクラスが大部分です。富豪の別荘からの税金や寄付があるから年中住んでいる住民の固定資産税の割合は低く、公立学校の設備ときたら有名私立なみです。けれども、富豪に対する心境が複雑なのは確かです。

高級感が高い観光地ですので、夏は町に美しい人々が溢れ、高級レストランも予約ができないほど混んでいます。けれども、シーズンが終わると、大陸から離れている島は空っぽになります。ですから島にある小さな本屋が生き残るのは以前から難しかったのですが、アマゾンの台頭でほぼ不可能になっていました。


歴史的な本屋のMitchell'sも絶滅の危機に瀕していたのですが、それを救ったのが、なんとグーグルのエリック・シュミットの妻であるウェンディだったのです。ウェンディ・シュミットは、ナンタケット島の中心街のバイタリティと環境を温存するための慈善団体ReMain Nantucketを作り、ビジネスや環境保存を応援しています。

そして今日、ReMain Nantucketは、ナンタケット島にあるもうひとつの本屋Nantucket Bookworksのオーナーのウェンディ・ハドソンとパートナーを組み、Nantucket Book Partnersというひとつの組織として運営をすることを発表しました。ふたつの書店の運営は、Bookworksのウェンディ・ハドソンが行うそうです。

ウェンディ・シュミットはMichell'sのほかにもナンタケット島の歴史的なビジネスを援助しており、大金持ちが簡単にお金でビジネスを救うことに反感を抱く人もいます。けれども、実際に本屋を訪れると、「小さな書店」のユニークさをそのまま温存しようとしているウェンディの姿勢が分かります。

趣味、慈善、ビジネス、いろんな見方はあるでしょうが、ウェンディがいなければ島から本屋は消えていたでしょう。それは否めない事実です。

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 助産師としてキャリアをスタート。日本語学校のコーディネーター、外資系企業のプロダクトマネージャーなどを経て、 1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 500 reviewer.

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